◎日本場末巡礼一人旅◎
 懐かしかわいい場所に行きたい。

 ひと昔ふた昔の観光名所、さびれかけている場所に行きたい。私は自然に興味はないよ。大自然と戯れたいとか、これっぽっちも思わない。スポーツはしたくないしできないし。流行りのテーマパークで人間工学をふんだんに取り入れた最新マシンに乗りたいとも思わない。こじゃれたホテルのレストランで食事なんてお断り。
 こんなあまのじゃくな私は、ひと昔ふた昔前の酔狂な人が作った娯楽の殿堂、秘宝館に引寄せられる。高度経済成長期の馬鹿前向き★くそ真面目な日本にあって、陽気に性をおおらかに謳い観光名所になった秘宝館。でも今も昔も、本屋にある旅行ハンドブックに掲載されることは、まずない。
 キッチュな顔だちの蝋人形、その当時の科学技術(?)をふんだんにあしらった仕掛け、セイフ・セックスを広めようとする心意気、(性病の恐ろしさを伝えるコーナで感じることができる。)コースの最後に必ずあるお土産屋さんで聞くおばちゃんの買いんさいトーク、秘宝館の全てが愛おしい。
 傾きかけたぼろい乗り物しかない遊園地、動物も飼育係ものんびりしてる人のまばらな動物園、くすんだ壁、ぐるぐるパーマ・厚化粧の女将がいる食べ物屋さん、そこはかとない「終焉」漂う、でものんびり陽気に息づく人々や場所のにおいが、たまらなく好き。
 服装にも懲りたい。例えばひと昔の新婚旅行を気取って白いワンピースにサングラス、つばの広い帽子にトランクで。スカーフをまち子巻きして白塗り化粧で長めのスカートをはくのもいいね。なんとなく、ひと昔前にタイムスリップした気分になれる。殺人事件に巻き込まれた悲劇のヒロイン気分にだってなれる。
 こんな旅を、もう「変な」旅だとはちっとも思わない。ちょっと前までは、「人と違うとこに行く個性的な私」に酔ってた。今はただ、私はこんな場末巡礼の旅が好き。一人旅も大好き。好きだから、旅に出る。そして、数度の旅経験によって、旅への自信も付いて来た。
 また、旅に出たくなってきた!自分を見つける旅でも、人と知り合う旅でも、馬鹿騒ぎする旅でも、いやしを求める旅でもない、場末のにおいを堪能するためだけの貧乏一人旅、それが 日本場末巡礼の旅。