瑞鳥庵住人の住む秦野は、歌人前田夕暮の生誕地であり、また、鎌倉幕府三代将軍であり超一級の歌人でもあった実朝の首塚が存在する、和歌(短歌)に非常に縁が深い土地柄です。俳句においても、住人が好きな辞世の句 『旅はいま落葉の音をきゝながら』 の作者で、野の俳人ある小林一眺が隣町の中井町から出ていますし、近くの震生湖には、物理学者として関東大震災で出来たこの湖を調査に訪れた寺田寅彦の 『山裂けてなしける池や水すまし』 という句碑もあります。
こういった環境の中、文語体など分かりもしない住人ですが、
何とか短歌か俳句が実作出来ぬものかとずっと興味を抱いていました。
新宿への出張の帰り、三省堂に立寄って短歌の本と俳句の本を探し、先ずは季語を必要としない短歌をと、
俵 万智著「短歌をよむ」(岩波新書)と、
沖 ななも著「優雅に楽しむ短歌」(日東書院)を手に入れました。
通勤途上で読む両書は何れも良書で、あと2回ほど「読めば」何とか「詠める」ようには・・・と期待しております。
心の「揺れ」を歌にする。
感受性を高め、「気持ちの揺れ=迷い」と混同しない様に短歌の実作を試みますので
講評をお願いいたします。
講評は左上の
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■2008.05.25 鼈(スッポン)

野鳥撮影のフィールドで小川に浮く亀を見ました。一瞬でしたが、田舎で親しんだスッポンの様でした。
夏、興味半分に田舎で駆使したスッポンの仕掛け(釣り道具)を作り、夕刻その小川に仕掛けて早朝に揚げに行きましたら なんと!
期待だにしなかったスッポンが、それも6匹も掛かって居るではありませんか!
生涯に捕獲したスッポンは4〜50匹になりましょうか。手足を咬まれたことは一、二度ではありません。いまだに足に古傷が残っています。
料理屋に引取りを頼みましたが、出所が不明な天然物は食品衛生上駄目とかで、行きつけの料亭に頼んで、夏バテ気味の仲間8名で完食しました。
『鼈(スッポン)』 と題する連作です。
杵柄と 自慢すべきか この釣果 サライの川で スッポン6匹!
咬まれたる 足の古傷 擦りつつ クーラーの中の スッポン眺む
割烹連 天然鼈 辞退とか 滋養強壮 仲間で食す
■2007.08.13 続新幹線

通勤電車であろうと新幹線であろうと女性のグループの近くには座らないようにしています。騒々しくて迷惑なぞ一向にお構いなし。
良くぞ同じ話をいつまでもしていられるものです。気になりだしたら終わりです。
休日の新幹線の座席指定など取ろうものなら遭遇確立100%。
下の短歌はこの度の帰省の際に妻に笑われながら車中でひねった愚作です。
新幹線も長距離のぞみになると”クリーンサービス”があるのですね。
『続新幹線』 と題する連作です。
仲良しの温泉巡りの旅らしき 車中凄まじオバタリアンぞ
繰り返し女連のオシャベリ長話 気にかけずとも耳につくなり
向かい席オシャベリ声の凄まじき これは貴女達の専用車両?
頼みたし車内清掃のぞみ号 向かいの女連は粗大ゴミかも
すみません車内清掃お姐さん となりの愚妻も要らないゴミです
■2007.07.07 週末の新幹線

帰省、出張でたまに長距離の新幹線を使います。
週末夕刻の上りの新幹線には出張帰りや単身赴任先からの帰宅組のサラリーマン諸氏の乗車が多く、マナーは良くなってきたとはいえグループでの宴会を目にすることが多々あります。
会社の情報セキュリティーは何処へやら、ビール片手に役職、個人名が飛び出し、宴たけなわともなれば、こちらが叱責してやりたくなるような自己中の愚痴まで飛び出す始末です。
サラリーマン諸氏よ、新幹線は居酒屋ではありません。
といった内容で駄作をひねりました。
『週末の新幹線』 と題する連作です。
座席越しビール片手に社内の苦情 WEEKENDの上りのひかり
そりゃ君が駄目じゃないのよ愚痴話 3列前の6Cの君!
3号車移り来たりて吸うタバコ PHILIP MORRIS 1mg ロング
■07.05.01 親父の菜園道楽

岡山の田舎の親父は八十を越えても好きな菜園道楽に精を出しています。
数年前の猛暑の夏に、母親の制止にもかかわらず炎天下で菜園仕事を続けて熱中症になり、嫌いな医者に掛かってからというもの一気に老け込みましたが、今でも畑に出るときは常用の杖を忘れて出るほどの懲り様だそうです。
都会で楽しむ菜園とは規模が違い、ありとあらゆる野菜、果樹あり、また、木小屋の中には多種の農機具ありといった、まさに専業農家の様相です。
そんな親父を「偶には出て来い」と親孝行の積りで誘ったら、菜園の方が楽しいらしく、「好きにさせてくれ」と何時ものツレナイ返事です。
『親父の菜園道楽』 と題する連作です。
受け取りし親父の手になる牛蒡は戦地で堀し塹壕の丈
炎天下野菜作りに熱中し病に伏せる親父を叱りぬ
上京に必需の杖はどうしてか畑に出るには要らぬものとか
上京を促す電話へ返事とて百歳まで生きると母に言わせり
菜園が楽しみらしく我が親父は息子の誘いに「好きにさせろ」と
呼び寄せに好きにさせろと親父は伝い畑の時期よと母は笑いぬ
行楽も肴も孫も何せむに翁の娯楽畑にしかめやも
■2006.10.07 伊豆沼の雁

また秋が来て、冬鳥の渡来の季節がやってきました。
もう7年も前のことになりますが、雁の渡来数が最も多い宮城県は伊豆沼周辺に雁の撮影に出かけたときの、夜明け前から始まるあの壮大な湖面のざわめきと、餌場に向かう大群の飛び立ち。あの感動を思い出し短歌にしてみました。
蒼白く一見不気味にも感じるしじまの湖面から怒涛のように雁が飛び立ち、間もなく朝日が昇りやがて湖面は黄金色に染まります。
『伊豆沼の雁』 と題する連作です。
水面なるざわめきやがて目に観えて影絵となりて雁飛び立ちぬ
蒼白くたゆたう靄に茜射しこぞって雁は飛び立ちにけり
蒼かりし四十万の水面は今し方雁発ち行きて黄金に輝く
■2006.10.04 亡き友に捧ぐ

この歳になると、かけ替えの無い人達との永遠の別れを味わうことが多くなりました。
この春には義父を、夏には、良き同僚であった若年の友を、また、今月は、先月まで務めていた会社での同期の親友が旅立って逝きました。
同期の友とは入社試験からの知り合いで、三社祭の神輿担ぎが好きで、無類の酒好き、口は悪いが温かい心の持ち主でした。
酒席を盛り上げる彼の芸は幾つもありましたが、一声「カー」と鳴くカラスの物真似だけは忘れられません。好い男でした。謹んでご冥福をお祈り致します。
『亡き友に捧ぐ』 と題する連作です。
当てもなく「また飲もうぜ」と言う貴兄の立ち姿やけにかすみて居れリ
人伝に貴兄は病と聞きながら去年のままにて在りたく見舞わず
ぬばたまの黒き姿で翔い逝くかカラスの鳴き真似上手かりし貴兄は
■2006.10.01 mixiの中の子供達

ところで、「mixi(ミクシィ)」をご存知でしょうか。
ブログ調のWebコミュニティーメールとでも説明しておきましょう。
既に家を出て行った3人の子供達がmixiへのアクセスを許可してくれて、書き込み(カキコ)の度にメールが自動配信されます。
其処には、親が知らない、成長した、または、成長途上の活き活きとした分身の姿が垣間見れ、毎回、驚きの連続です。
そんな情景を歌にして見ました。
『mixi(ミクシィ)』 と題する連作です。
mixiのカキコの中に輝きて翔ばたき出づる子達なつかし
巣立ちたる三羽の吾子はmixiのカーソルの先に囀り居れリ
mixiのバトンの答え読むほどに吾子なのかと妻は笑えリ
■2006.09.23 56歳の誕生日

子供達からは毎年お祝いのプレゼントが届きますが、妻からは無視される傾向が随分と昔から続いています。今年は次女がパティシエになる勉強をしていて、誕生日前にはそこらじゅうにケーキが置いてありました。
そして、妻からは今年も無視され、住人の誕生日の夜、妻は友達との飲み会に出かけて行きました。
いじけた積りで早速、俵 万智風の短歌を練りました。
『56歳の誕生日』 と題する連作です。
せかされて一日前に口にする娘手製のゴージャスケーキ
足早に帰り来たりし誕生日、では、ごめんね!と妻飲み会に
「来年もあるじゃないの」と妻が言いTVと過ごす誕生日の夜