湘南のシギチ(2010.8〜9)
以前から、春秋の渡りの時期に湘南の海岸の渚や内陸部の休耕田に多種のシギ・チドリ類が滞留するとの情報を貰っていましたが、
休耕田の所在に疎かったことに併せ、識別の難解なシギチへの敬遠から、一歩を踏み出すことが出来ませんでした。
偶々、タマシギの情報を貰い休耕田に赴いたのが8月の半ば。既にシギチの秋の渡りの季節に入った時期でした。
現地でお会いした同業者の方達(野鳥撮影を楽しまれている方達ですが)からシギチの詳しい情報を貰うにつけて、
今期は少しシギチでもやってみようかと発起し、結局は、猛暑続きの8月上旬から9月下旬までの約1か月半、
土日という土日は全て近場の湘南の休耕田や海岸に出掛けました。
それほど珍しい種は撮影出来ませんでしたが、留鳥種も含め休耕田で撮った淡水系のシギチと海水系のシギチの写真を載せております。
休耕田で撮ったシギチ
ここ湘南の地にも水を張った休耕田が点在します。
一時期よりも多くなったのか少なくなったのかは分かりませんが、日本の食糧事情と就農人口減少の問題を認識せざるを得ない現実です。
その休耕田に、秋の渡り途中のシギチが羽を休め、栄養補給をして越冬地の南国への渡りに備えます。
滞在期間は種によっても異なるのでしょうが、1、2週間ではないでしょうか。
休日バーダーの身ではかなわないところもありますが、今期撮った淡水系のシギチ数種を掲載いたします。
タマシギ♂
「一妻多夫」で雄が子育てをすることで有名なシギです。他の野鳥と異なり、雄よりも雌の羽色の方が鮮やかです。
鳥友からタマシギ抱卵中の情報を貰い出掛けましたが朝夕決まった時間に採餌のために畔に出て来て水田の脇で水浴びをしていました。
残念ながら抱卵中の卵を蛇にやられたそうで孵化した雛の写真と綺麗な雌の写真は来年に持ち越しです。
(2010.08.07)
コチドリ
日本全国に夏鳥として渡来し繁殖をする小形のチドリです。夏羽の成鳥ははっきりした黄色のアイリングがあり可愛い顔をしています。
水が引いた休耕田に5羽の家族連れで訪れて渡去前の栄養補給のために忙しく採餌をしていました。
(2010.09.12)
(2010.09.12)
ムナグロ
旅鳥として春秋の渡りの季節に渡りの中継地として日本の海岸や干潟、水田や河原等で観察されます。
夏場のムナグロは名の如く、顔から胸、腹にかけて真っ黒い羽色をしています。
初秋の休耕田に13羽の群れで訪れて採餌をしていましたが、既に冬羽への換羽が始まっていました。
(2010.08.29)
トウネン
日本には旅鳥として渡って来る小形のシギです。春秋の渡りの季節には数羽から数百羽の群れが海岸や干潟で観察されます。
既に冬羽に変わったトウネンが内陸部の休耕田にも小さな群れで入って来て採餌に勤しんでいました。
名のトウネンは「当年」からだそうで、その年に生まれたという意味だそうです。?
(2010.08.29)
ケリ
留鳥として日本の本州各地に分布するチドリの一種ですが、昔は関東以北でしか繁殖の記録が無かったそうです。
黄色の嘴と太くて長い脚、灰色と白と黒の羽色のコントラスト。好きな野鳥ですが写真に収めたことはありませんでした。
猛暑の続く8月の下旬にやっとお会いすることができました。
なんと!その年生まれの雛を連れた21羽もの大群が、水を満々と湛えた休耕田で涼を取っていました。
(2010.08.21)
(2010.08.21)
オグロシギ
日本には旅鳥として渡って来る大形のシギです。春秋の渡りの季節には数羽から数十羽の群れで海岸に近い水田や湿地、干潟を訪れます。
海水環境を好むオオソリハシシギによく似ていますが、オグロはむしろ淡水の環境を好むそうです。
このフィールドには、1羽と3羽の群れが現れ、後日に10数羽の群れも滞留して行きました。
(2010.09.11)
(2010.09.12)
アオアシシギ
日本には旅鳥として春秋の渡りの季節に干潟や海岸に近い内陸部の湿地にやって来る比較的大型のシギです。
撮影機材を担いで水田の広がる田園地域の所々に存在する休耕田を廻っていたら、気配を感じて一羽の大きなシギが飛び立った。
ケリの様に思えた個体は周回飛行の末にもと居た場所に降り立ち採餌を始めました。
それは今年の春、海岸の干潟で初撮りをしたアオアシシギでした。
(2010.08.21)
タカブシギ
鷹の羽斑をしたシギとのことで、「鷹斑鷸(たかぶしぎ)」と呼ばれています。鷹斑は胸の羽色をいうそうです。
濃褐色に白斑のある背は大変綺麗で、スマートな身体つきの小形のシギです。
日本には旅鳥として春秋の渡りの季節に内陸部の湿地にやって来るそうです。
イソシギの様に腰を頻繁に上下に振って、休耕田の泥地を歩き回って採餌していました。
(2010.09.18)
ヒバリシギ
旅鳥として春秋にやって来る小形のシギですが、数は少ないそうです。初秋の休耕田に3羽の群れでやって来ていました。
他のシギチに比べて警戒心が強い様で、畦道の草陰に潜んで偶に出て来て採餌するパターンを繰り返していました。
トウネンに良く似ていますが、泥地を好むためか足指が長く、羽を畳んだ背中に白くV字模様ができるのが識別の特徴です。
(2010.09.18)
タシギ
日本には旅鳥または冬鳥として多数が渡って来る中型のシギで、識別の難しいジシギ類の一種です。
この休耕田には3羽が入っていて、長い嘴を泥の中に突き刺して餌を探していました。
時折り上空を脅かすトビやチョウゲンボウ等の猛禽が現れると、急いで畔の草陰やイグサ類の茂みに入ります。
ジシギ類では他にオオジシギを観察致しました。
(2010.09.19)
チュウシャクシギ
日本には旅鳥として春秋の渡りの季節に海岸の岩礁や干潟、内陸部の水田や畑にやって来る比較的大型のシギです。
オグロシギの群れが入った休耕田脇の水路に1羽だけ居て、ジャンボタニシを採って中身を取り出して食べていました。
(2010.09.19)
トンボ
初秋の休耕田はトンボの宝庫。色々なトンボが飛び交い、ファインダーの中に入り込んで野鳥撮影の邪魔をします。
撮影の合間にざっと数えただけでも5種以上。産み落とされた卵は土の中で冬を越し春の水田で生育して成虫になります。
海岸の渚で撮ったシギチ
湘南の海岸は複数の一級河川が流れ込み、砂浜が形成されていますが、上流での取水や河川改修によって砂浜が減少している現状です。
しかし、河口には未だ僅かながらの砂浜も残されており、春秋の渡りの季節には少数の海水系のシギチが羽を休めます。
今回は亜種を含む3種ですが、9月下旬の同一日に撮ったシギ類を掲載いたします。
オオソリハシシギ
湘南の河口に残る小さな砂浜の干潟では以前多くの渡り途中のシギチを観察することができました。
そのなかの代表格がこのオオソリハシシギで、10羽程の群れの姿を堪能したものでした。
渚に5羽のオオソリハシシギが入っているとの情報を貰い、休耕田からの帰りに寄ってみました。
サーファーや釣り人でにぎわう浜の渚や砂丘で、人を恐れず長い嘴を深く突き刺して採餌をしていました。
(2010.09.19)
亜種コシジロオオソリハシシギ
休耕田で貰った河口のオオソリハシシギの情報では、「写真に収めておく価値のある珍しい種が中に入っている。」とのこと。
撮影して後でわかったのが、5羽中の3羽の腰部が白かったことでした。
ネットで調べた結果は、「偶に群れに交じることのある亜種コシジロオオソリハシシギの可能性あり。」でした。
ブログに掲載したところ詳しい方からほぼ間違いなしのご意見も戴きました。
(2010.09.19)
ミユビシギ
冬鳥、または旅鳥として春秋にやって来るミユビシギです。河口の渚には1羽が入っていました。
大きな群れで渡るミユビシギなのですが、この個体は群れからはぐれたのでしょうか?
(2010.09.19)
これらシギチのその他の写真は
瑞鳥庵ブログ−野鳥撮影に魅せられて−の8〜9月に掲載しております。
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