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●不幸を呼ぶ不信の連鎖 電車に「細木数子―魔女の履歴書」なるセンセーショナルな見出しの週刊誌の広告がありました。 またかと、うんざりするようなゴシップ記事です。 細木先生は、悩んでいる人の人生相談など良いこともいっぱいしているのだから、 ちょっとくらい悪いことしたとしても、まあ、しょうがないか、もうしちゃダメよ細木ちゃん、 くらいの寛容な気持ちを持つことはできないものでしょうか? シャカやマザーテレサではあるまいし、人間なんて欲望の塊なのだから、悪いことをするのが当たり前です。 イエス=キリストも、聖書の中で姦淫の罪から石打ちの刑になろうとしている女性を救うために 「あなたがたのうちで罪のないものが、最初に彼女に石を投げなさい」と言っています。 この手の記事は一見、社会的正義を守ろうとしているかのように見えて、 実は社会になんら貢献していないのではないかと思います。 むしろ、これは不信と敵意を病魔のように世界に蔓延させる害悪ですらあると思います。 有名人の暗部を暴き立てるニュースは、視聴者に正義の側に立って悪を糾弾する一時的な快感を与えますが、 それは同時に、どんな立派な人でもその本性は悪だという、おかしな認識を人々に植え付けてしまっています。 例えば、毎日、洪水のように流れる政治批判、政治家の汚職事件報道を見てきたおかげで、 私は政治家と言えば誰でも私腹を肥やしているかのような偏見を持つようになってしまいました。 政治に対する不信感や若者の政治離れは、政治家を批判するメディアが醸成していると言っても過言ではないと思います。 豊かな経済の中で、年間自殺者が3万人も続く現象は、こうした不信や敵意が自分に向かい、 失意やあきらめとなって、そこから回復することができないからではないでしょうか? アメリカでは、性犯罪者の顔や個人情報を公開しており、誰でもネット上で見ることができるようになっています。 そうした結果、性犯罪は減ったが、新たな問題が発生するようになりました。 性犯罪者に対する中傷や差別、暴力です。 2006年の2月、 AP通信によると、米アーカンソー州ベントン郡に住んでいる女性が、 「この家には性犯罪者が住んでいる」というビラを全く無関係の隣人宅の玄関ドアに貼ってしまい、 警察沙汰になるという、笑うに笑えない事件がありました。 性犯罪を犯した者が近くにいれば、人は不安になります。 次は自分が被害に会うのではないか? 自分の娘や妹、妻がその毒牙にかかるのではないか? とそればかりを考えるようになります。 そこで安心を得るために過剰な防衛策を取ったり、先制攻撃を加えて彼らを排除しようとする者が出てくるのです。 中には正義のために性犯罪者を殺してしまう事件もありました。 不信の根が、本来起きなくても良い悲劇まで起こしてしまうのです。 「臆病で活動力を欠いている善は、自己を他に伝達することに向いていない。 善よりはるかに熱心な悪は、自己を伝達せんと欲し、そして伝達することができる。 それというのも、悪には、他を魅惑すると同時に他に感染するという二重の特権があるからである」 (シオラン「悪しき造物主」) 共同体を生きる人々の心が荒廃すれば、その共同体は必ず崩壊へと向かっていきます。 不信の根が世界にはびこれば、共同体から仲間への信頼が失われて、内的崩壊を起こすしょう。 メディアには社会の批判や悪口だけでなく、もっとポジティブな記事をいっぱい載せてもらいたいものです。 例えば、三丁目の山田君は、今日、警察に落とし物の財布を届けました。 最近の若者は、みんな誠実でまじめで、日本の将来は明るいですとかね…… 売れないでしょうけど(汗)。 『管理人コラム』の目次へ戻る トップへ戻る▲ページの先頭へ |
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