いじめ駆け込み寺 書籍レビュー
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すごい生き方


著者:雨宮処凛
出版社:サンクチュアリ・パブリッシング
発行年月:2006年01月
本体価格 1,300円 (税込 1,365 円)

人生指南の本というと、なにか偉大な功績を残した先生が、
こうやれば成功できるという風に説教臭く若者を叱咤するモノが多いですが、これは逆です。
いじめに遭い、リストカットし、親と喧嘩して家出と自殺未遂を繰り返し、
人生に絶望してきた雨宮さんが、最初にその体験を赤裸々に綴っています。

「10代、20代の若い時代が人生で一番輝いている時なんて言葉は、嘘っぱちだ。私の少女時代は最悪だった」
 
という言葉には、ズシンと来る真実味がありました。

どんな社会システムを作ろうとも、必ずそれに適応できない者がでてきてしまう。
でも適応できないことを恥じる必要はない。
常識とされている生き方以外の生き方も、この世にはたくさんあって、それを選択して幸せに生きている人もいる。


と本書の中で雨宮さんは、訴えます。
落ちこぼれを許容できる社会、弱者を許容できる社会、
多様性を受けいれられる社会こそ健全な社会なのだと。
 
「高校、大学に進学して、そこそこの企業に就職し、20代か30代に結婚して子供を作り、
大過なくサラリーマン人生を過ごして定年退職し、老後を迎える」
 
こういった人生が、一般的に歩むべき幸福な人生と言われています。
そして、この人生の航路から外れると、負け犬になり敗者の烙印を押されます。
大学進学に失敗したら敗者、就職に失敗したら敗者、
結婚相手を見つけられなかったら敗者、途中で会社にリストラされたら敗者、というわけです。

この常識に縛られてしまったばっかりに、余計な苦悩を背負い、
「生きづらい」と感じている人たちに、そんな呪縛から解放されるべきだと言います。

人によっては受け入れがたい思想かもしれませんが、自殺未遂までして、
人生のどん底を味わってきた作者の言葉だけに、胸に来るモノがあります。
実際に、今、10〜30代の2人に1人が「生きづらい」と感じ、
10人に1人が、自殺未遂を経験しています。(インフォプラント調べ)

年間平均3万人が自殺をするという世界トップクラスの自殺大国である日本は、やはりなにか不自然な部分があるのでしょう。
3万人といったら、戦争の犠牲者にも匹敵する数字です。
平和な国の中で、毎年見えない戦争が行われているといっても過言ではありません。

信じられないことに30代を過ぎた未婚の女性を指さして、「負け犬」と呼んでしまうような雑誌もあります。
こういう事実に直面すると、なにか薄ら寒いモノを感じますね。


女は結婚して子供を産むのがふつうで、それができない、
あるいは選択しない奴はクズだとでも言いたいのでしょうか?
 
また、自分を受け入れてくれる環境に行くべきだという指摘にも大いにうなずかされました。
例えば、5年間ひきこもりをやっていた青年が、同じように生きづらさを抱えている人たちの会合に参加して
その体験を語ったところ、たいへんな共感と賛同を得られて、人と会うのが苦にならないようになっていった、
というエピソードが紹介されていました。

ふつうの人なら、ひきこもりをしている青年を否定的な目で見るでしょう。
なんだあの負け犬は? っていうかんじでね。
でも、それをしない人たちに受け入れられたからこそ、彼は立ち直れたわけです。

生きることに辛さを感じている方には、ぜひ一度、読んでいただきたい本です。

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