いじめ駆け込み寺 書籍レビュー
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「ニート」って言うな!


 
著者:本田由紀 /内藤朝雄
 出版社: 光文社
 発行年月:2006年01月
 本体価格 800円 (税込 840 円)
「ニート」とは、働かず、就学もせず、求職行動もとっていない若者を指す言葉で、2004年頃より使われ始め、
その急増が国を揺るがす危機のようにマスコミで叫ばれてきました。
すなわち、働かない人間が増えると、いつかは社会が破綻するというわけです。
でも、実際には社会は破綻する兆しなんて見せません。
というかしないでしょう。

なぜなら、逆に人手が有り余って就職難になりリストラが吹き荒れているような状況だからです。

働かない人間が増えているのではなく、働けない人間が増えているのが実情です。
では、なぜこんなにニートが叩かれるのか?

本書は、繰り返し行われたニートバッシングには、年輩者による異質な若者文化への憎悪があるとしています。

高度経済成長を通して会社員として働いてきた年代層は、
まともな会社へ入って汗水たらして働いて、まともな収入を得ることが、
まともな人生であり、それ以外は認めないという頑迷さがあります。
自分たちの世代では、それで、うまく社会が回っていたからです。 
 
なので、ニートになるような若者は、ナマケモノで、
どうしようもない社会不適格者であるという論調がまかり通ってしまったわけですね。 
会社員であらねば人間であらずという感じです。

しかし、社会構造は刻々と変化していっています。
終身雇用が崩れ、能力主義、成果主義の時代に移ってしまいました。
能力主義の時代では、即戦力が必要とされます。
企業は優秀な人材しか採用しません。

標準化できる簡単な仕事は、機械とITが代用します。
そのような中では優秀な人材、専門能力を持った人材にしか仕事はありません。
能力主義、成果主義というのは、能力のある人間にとっては快適でしょうが、能力のない人間にとっては地獄です。

誰でも努力すれば結果が出せるなんてお題目を、本気で信じている人は皆無でしょう。
一を聞いて十を知る人間もいれば、十を聞いて一を知る人間もいます。


これは厳然たる事実です。
そして、世の中は優秀な人間の方が少ないのです。
なので、どうしても落ちこぼれが出てしまいます。

毎日長時間労働や過酷な勤務をやらせ、それについていけない人は、どうぞ辞めてください……
そんな会社が増えてきてます。

「嫌なら辞めろ。お前らの代わりなんぞいくらでもいるぞ」
という上司のセリフを聞いたことのない人はいないのではないでしょうか?
人を人として見ず、使い捨ての消耗品みたいに扱うのですね。

そのため、企業の内部では、いじめ、過労死、自殺なんて問題も起き、
そこでドロップアウトしてニートになってしまう人もいるのです。

しかし、世間は、ニートを単なるナマケモノとしてしか扱わず、すべて個人の問題にします。
努力が足らないからだ。やる気がないからだ。
こんな若者を作ったのは甘やかした親の責任だ。

おいおいって、感じですね。

不況の時代、就職難の時代、リストラが吹き荒れる時代では、人手はどこでも有り余っています。
今働いていない100万人が働きだしたら、100万人が首を切られるだけで、
結局何も変わらないんじゃないでしょうか?

本書では、この点に言及しニートバッシングが、社会構造の問題を完全に無視している点を厳しく批判しています。

また、人間の生き方の多様性を認めず、ニートを一段劣った劣等人間みたいに扱う、
新たな社会差別にも批判の目を向けています。

そして、このような若者バッシングは、これからの時代も形を変えて続いて行くであろうと、鋭い分析をしています。
確かに、いつの時代でも、異質な若者文化というのは攻撃の対象にされてきました。
 
テレビが人間を白痴化させるという流言が飛び交ったこともあれば、
戦時中、推理小説が規制の対象になったこともあったと聞きます。
なんでも現実と空想の区別がつかなくなるとか。
今では笑い話ですけどね。

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