久しぶりにヤフードーム(旧福岡ドーム)で野球を見てきた。ファンクラブの特典で、ボックスシートが当たったのだ。ボックスシートとは観客席の上にあるバルコニー付きの部屋で、たしか巨人の長嶋さんがリハビリ経過良好で試合を観戦したのも東京ドームのボックスシートだったように思う。
部屋でもくつろげるし、生の試合も観戦できるし、初めて福岡ドームに行って以来、一度あんなところで見てみたいと思っていた。
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ホークスが福岡に移って、平和台球場時代から福岡の試合には何回か通っていた。初めて福岡ドームに行ったのは、1993年地元での公式戦初戦で、相手は当時まだ近鉄にいた野茂、対するホークスは若きエース村田。めでたい試合なのに8回まで野茂がノーヒットピッチングで、あわやノーヒットノーランをくらうところだった。いぶし銀、小川がしぶとくセンター前に運んで何とか免れた。翌日の西スポのタイトルは「ドームすいません(^^;)」だった。 |
| 緑の観客席の上に並んでいるのがボックスシート
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その後も何度か足を運んでいたけど、子供が大きくなって、京都から福岡までの旅費が今では家族で3.5人分掛かってしまうので、おいそれとはいけなくなってしまった。その頃には、ボックスシートなんて関係者や地元企業が接待に使うためのもので、ボクたちには無縁のものと思うようになっていた。
ところが今年、ホークスの親会社がソフトバンクになって、もちろん有料ではあるけれど会員特典で入れるようになり、また「城島ルーム」や「松中ルーム」など選手名を冠したボックスシートのチケットを、ヤフーが興行主としてヤフーオークションに出品したりして、その気さえあれば誰でも申し込めるようになった。
5月に申し込みをして、連絡が来るまでやきもきしたけど、ようやく来ました。8人ワンルーム。家族だけではキャパがありすぎるので、最後の親孝行かもと、長崎の実家から両家の親を招待して、比較的大イベントになった。

−バックステージツアー−
京都から新幹線、福岡地下鉄を乗り継いでヤフードームに到着すると、まずドーム内のバックステージツアーを申し込んだ。スペインでサンティアゴ・ベルナベウ・スタジアムのバックステージを見ているときから、いつかはプロ野球のベンチ裏を見てみたい想いを強くしていた。
小学生の頃から野球をやっていて、単純に純粋に何の疑いも無くただ憧れだけから「大人になったら野球選手になるんだ」と思い込んでいた時期があって、それがやっていくにしたがって「あー、プロ野球選手にはなれないんだなー」という現実が子供ながらに段々分かってくる。
だからたとえ一軍半の選手であっても、ユニフォームを着ていなかったらその辺にいるただのあんちゃんにしか見えない若者であっても、本当にプロ野球選手になっちゃった人には、今でも尊敬と憧れを抱いているのだ。
ドームのベンチに座ってみた。三塁側(相手チーム側)だったのが残念だったけど、そこからどでかいスタジアムを見上げると、こんな大勢の人がいるところでよく打てるなというのが感想。きっとボクだったらお約束で、打席にたどり着く前に、運動会の入場行進よろしく右手と右足が一緒に前に出てしまうだろう。
普段の草野球や、レクレーションのソフトボールでも、ちょっとした声援で緊張してしまうのに、ここに比べればと思うと、ちょっとは楽になる……かな?
左からブルペン、ロッカールーム、選手食堂
食堂では、試合前や試合中でも食事を取ることができる。全品タダですよ、というガイドさんの説明に子供たちから「いいな〜」という子供らしい感嘆が漏れていた。

−あなただけのハッピー−
バックステージツアーが終わっていよいよ入場。入場ゲート前には既に開門待ちの長い行列ができている。ところがボックスシートの観客には、通常の入場ゲートの横にスーパーゲートというのが設けてある。照りつける日差しの中、延々と長い列を待ち続けている下々の方たちを横目に(笑)、並ぶことなく「お先に失礼!」的な感じで、スーパーゲートの自動ドアをくぐった。
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中では制服を着たお姉さんが深々とお辞儀をして出迎えてくれる。切符もぎりの学生アルバイトとは大違いだ。導かれるままエレベータで6階まで進むと、そこにはソファーなどがしつらえてあるロビーがあり、ここでも別のお姉さんがうやうやしくお辞儀をしてくれた。うーん、セレブな気分だ。 |
| ロビー
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話がさかのぼるけど、もしヤフードームのチケットが当たらなかったら、愛知万博にでも行こうかという話に奥さんとはなっていた。予算の都合上どっちもというわけにはいかないので、申し込んだ試合のひと月前になってもチケットが届かず、ようやく届いたころには、諦めて万博の計画でも立てようかという頃だった。
「さつきとメイの家」が大人気で、どうやら一筋縄では見られないと分かった頃から、ボクの中では万博への関心が失せていたんだけど、その気になり始めていた奥さんは、「ドームのチケットが当たったぞ〜!!」と10年越しの夢がかなって狂喜乱舞しているボクの横で少し不満そうだった。
喜びに水を差された感じになって、険悪な雰囲気になりかけたけど、同じ金額を払うのなら、人と違う「自分だけ」感覚を味わう方が価値があったと、ドームで奥さんも納得してくれたようだった。
昔は皆が持っているものをほしがった。戦後の復興期の日本がそうだし、高度成長の頃と状況が似ている今の中国もそうなのかもしれない。だけど一旦それがインフラとして当たり前になってくると、人々の心はまったく別の次のフェーズへ遷移して、ここだけとか、あなただけというものに深い満足を感じるようになる。同じお金で万博かボックスシートか迷ったときには、ボクの中ではまさにこの論理が働いた。
今回はお金を払ってサービスを購入したわけだけど、お金を使ったから嬉しいのではなくて、マスとしてはなくちょっぴり自分だけの体験ができたというところに喜びがあるんだと分かれば、お金なんて掛けなくてもハッピーは感じることができるに違いない。

−いよいよ未知のボックスシートへ−
6階のロビーに到着した後、まるでホテルの部屋のように、タキシードを着た従業員の人にボックスシートへ案内された。
掘りテーブルになっている和風の部屋は、空調が効いていて冷蔵庫が完備、ガラス張りの壁はグラウンドに面していて、いつでもバルコニーに出て試合を観戦することができる。部屋のテレビでは目の前の試合を生中継で見ることもできる。
フロアを少し探検してみた。部屋はグラウンドの周囲に円形に配置されていて、それに沿ってラウンドしている廊下を歩いていると、先に紹介した城島ルームや松中ルーム、川崎ルームを発見した。
ドアの開いている部屋をのぞくと、ソファの置いてある洋風の部屋など、バリエーションはたくさんあるようだ。
途中から、「この廊下を1周すると元の部屋に戻れるのだろうか?」とマゼランのようなことを思いついた。結構な距離を歩いたんだけど、もうちょっとで1周というところで行き止まりになっていて、結局3/4周を逆戻りしなければならなかった。
試合開始に合わせて、まーまず乾杯からと軽い親戚の集まりのノリから始まる。子供たちに対しては「大きくなってー。小さいときは小さかったのにねー」などと当たり前のたわいのない話が続く。場持ちしなくなった子供たちはバルコニーに出て野球観戦に興を出す。ボクも小さいときはこの子供の役だったのに、今は催す側にいる。時代だなー。
試合は都合のいいことにホークスペース。もしこれがせっていたり負けていたりしたら、親戚ノリそっちのけだったかもしれない。うちの父親も野球ファンで、昭和30何年かの西鉄の日本シリーズを平和台球場のライトスタンドで見たという、もう何回も聞かされた話があるんだけど、こんな雰囲気で試合を見られたのは初めてだと感謝された。ちょっと嬉しかった。
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うちの子供たちも「なんか今日だけめっちゃスペシャルやん!」と喜んでいた。 |
| ジェット風船に興奮する息子
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