自 称 名 品 (94)

2009.11.08

ベルギー領コンゴあて145円料金航空便

100円、45円という目立たない額面の切手を利用した混貼ですが、なかなか見所のあるカバーを紹介いたしましょう。決して高価な品ではありませんが、目にしたらぜひコレクションに加えておきたい品です。

第5地帯あて航空便書状(2倍重量)
SHIBA 1954.12.17 → ベルギー領コンゴ

1953.7改訂の外信航空便料金
すでに他の記事に書かれている内容の繰り返しになりますが、簡単に復習しておきましょう。1947年8月27日に再開された戦後の国際航空郵便は、その後4回の料金改訂を経たあと、1953.7.1改訂の料金が1959年3月31日までの約6年間続きました。この期間の各地帯あての封書航空便料金を、下記に掲げておきます。地帯区分は料金改定のたびに修正が繰り返されましたが、この期間には最高料金が適用される第5地帯の範囲が、それまでより狭くなっている点に注目しておきましょう。

この料金体系のために発行された切手が4種の大仏航空(80円は第5地帯あての印刷物料金)ですが、第1〜2地帯あての35円、50円料金は、一般の普通切手が役割分担しました。この料金体系は6年という長期間続いたため、大仏航空の70円貼り、115円貼りなどは市場に豊富に存在し、戦後の外信航空便を代表する存在となっています。

第1地帯 35円 中国、台湾、朝鮮
第2地帯 50円 東南アジア諸国
第3地帯 70円 北米、中部アジア、オーストラリア
第4地帯115円 ヨーロッパ、中近東、中南米、北アフリカ
第5地帯145円 アフリカ(北アフリカを除く)

第5地帯145円貼りの航空便
しかし第5地帯あての航空便となると、存在数は極端に少なくなります。ひとつ前の料金体系で第5地帯に含まれていた南米諸国が第4地帯に移行したからです。残されたアフリカ地域も、もともと日本との結びつきが弱かった地域である上に、中南部に限られていたことが効いています。マダガスカル、南アフリカあての航空便をたまに見かけるくらいで、他の国あてのカバーはほとんど見た記憶がありません。

というわけで、この第5地帯あての大仏航空145円貼り航空便は、古くから珍品としての地位を確固たるものとしています。近年になって、海外で発掘されたカバーが時折オークション誌を飾りますが、落札値はやはり大変高価です。筆者のもとには別記事で紹介しているように、一時期まとまった量のマダガスカルあてカバーが出回ったときに、かろうじてゲットしたおこぼれが来ています。

ここで紹介するカバーはその145円貼りの2倍重量便の名品、...と言いたいところですが、残念ながら肝心の切手が大仏航空ではなく、普通切手100円と45円の混貼になっています。しかしこれはこれで、なかなか得がたい使用例です。単位額面100円と端数料金45円を素直に組み合わせた形になっている点がポイントです。しかも2倍重量ということで、それが2組貼られています。航空切手を使わずに290円料金を貼ろうとするとこのような貼りあわせになるのが自然ではありますが、キジ航空など高額航空切手の残品が無秩序に貼られているカバーに比べれば、ずっとスッキリしています。

さらには宛先に注目しましょう。市場で時折見かけるマダガスカル宛や南アフリカ宛とは違って、ベルギー領コンゴとなっています。アフリカ有数の資源国ですが、この時期に日本から差し出された航空便は、やはりごくわずかであったと推察されます。