Update:2003/12/10 「911 オイルラインの比較」

 No.35

お読み下さい(免責)

 当ホームページをご利用になった上で生じたいかなる損害に対しても一切の責任を負いかねます。あらかじめ御了承下さい。


 911 オイルラインの比較

 今回は、911系のエンジンのオイルラインに付いて見ていきましょう。意外と基本は昔から変わってませんが、年式、車種で微妙に変わってきてます。ボクスター以降996などはまったくの別設計になってます。ターボ車とNA車でも違いがあるのですが、今回はNA車について説明していきましょう。

 今回は、特にページが大きく長い?です(笑)説明文と図がちょっと離れてしまうかもしれませんが、上下スクロールしながらご覧下さい(笑)

 下記図1、930系から見ていきましょう。フロントオイルクーラーのラインがないので、図的にはちょっと古さを感じますが(笑)'89年式まで基本的には同じです。カムホースラインがチェーンケースに組み込まれていたりエンジンオイルクーラーが付いてなかったりしますが、964までも基本は同じオイルラインと考えていいでしょう。

 初めてご覧になる方には、わかりにくいオイルライン図なのですが、オイルの流れをつくり出すオイルポンプから見ていったほうが理解しやすいかもしれません。オイルポンプは赤丸で囲ってみました。このタイプの911は、オイルポンプが1つですが1つで「Pressure」「Return(オイルタンクへ)」の2つの役割をしています。

 まずはオイルポンプの番号「3 Pressure pump」から見てみましょう。ここには、供給するオイルをオイルタンクからオイルラインで来てます。オイルタンクから途中エンジンオイルクーラーを通ってますが、ここは冷却効果はそれほどありません、ただオイルラインが通ってるだけと考えていいでしょう。Pressure pumpで圧送されたオイルはクランクケースを立ち上がり「5 サーモスタット」に流れます。ここはエンジンオイル温度により、オイルの流れを切り替えるところです。油温がまだ上がってない時は、オイルを「8 オイルクーラー」に流さず、クランクシャフト側に流れます。油温が80°C以上になるとサーモスタットが開き、オイルの流れが変わり、オイルクーラーを通ってからクランクシャフト側に流れます。この「8 オイルクーラー」の冷却は、エンジンを冷やすク−リングファンからの風量で冷やされています。オイルが暖まってても冷えてても、サーモスタットからクランクに流れる前に、「6 オイルプレッシャースイッチ」にも流れます。オイルプレッシャースイッチとは、メーターに警告ランプが付いていますが、オイルジョッキの形をした絵が書いてありエンジンをかけるとランプが消えるオイルプレッシャーランプ、あのランプのスイッチです。オイルプレッシャースイッチは、エンジンの真上に付いていて、年式、距離相応でたまにオイル洩れを起こす事でも有名ですね(笑)

 クランクシャフト側に流れたオイルは、クランクシャフトの大メタル、小メタルを潤滑しクランクケース下部に排出されます。クランクシャフトに流れるライン以外にも、ピストンオイルジェットなるラインにも流れ、各ピストンにオイルを噴射しピストンをオイルにより冷却されます。この場合もピストンに噴射されたオイルは、そのままクランクケース下部に垂れ流し状態で溜まります。それ以外にもインターミディーギアシャフトの潤滑にも流れます。

 クランクシャフトラインに流れなかったオイルは、左右カムホースから左右カムハウジングに流れます。リヤ側からエンジンルームに向って右側のカムホース側には「14 Oil temperature gauge」が付いてます。これは、俗に言う「油温計」なのですが、ここの油温測定でいいものか?など、何かと話に上がってきますね(笑)年式によりこのOil temperature gaugeの前に油圧ゲージが付いてるタイプもあります。両者ともメーターパネルで測定値が確認できます。

 カムハウジングに流れたオイルは、カムシャフト各ジャーナル部及びロッカーアームに潤滑され、カムハウジングに溜まったオイルは、リターンパイプでクランクケースのオイルパンに戻されます。わかりやすくするため図-1に青丸緑丸を付けました。青丸部、そこがオイルラインの最終点です。このオイルラインの911は、普通15W-50くらいの硬めのオイルを使用されてると思いますが、エンジンがまだ暖まってない冷間時には、このオイルラインの最終点青丸部とカムハウジングに入ったばかりの緑丸部では、オイル噴射の勢い、量が違ってきます。何度か業務上、エンジン冷間時タペットカバーを外したままクランキングし、オイルの流れを目視確認した事があるのですが、緑丸オイルライン部ではオイル噴射量、勢いなど問題なく噴射されてるのですが、青丸オイルライン部の最終点では、緑丸部より明らかにオイルの噴射状態が悪く感じました。エンジンオイルが暖まった状態では青丸部も緑丸部も、目視ですがオイルの噴射量にそれほど差はないように感じました。これが意味している事は、『エンジンが暖まってない冷間時は、青丸オイルライン部の最終点までオイルが正常に流れにくいので、オイルが暖まるまでは、エンジンに不要な負荷を掛けない方がよい。』ということだと思います。ターボ車では、エンジンオイルが暖まっていないのにフルブーストは掛けない方がいいでしょう。

 まったくの個人的見解ですが、このような事をあまり気にせずに乗られたクルマは、シリンダー番号で3番と6番のロッカーアームなどが他のシリンダーに比べ、消耗してる場合があると思います。

図1

1

Oil strainer (crankcase)

2

Return pump

3

Pressure pump

4

Safety valve (opening pressure p = 8 kg/cm = 113 psi)

5

Thermostat (opens to pass oil through cooler at approx. 80ーC = 176 F)

6

Oil pressure gauge

7

Pressure relief valve (opening pressure p = 6.2 ア 0.8 kg/cm^2 = 88.2 ア 11.4 psi)

8

Oil cooler

9

Oil tank

10

Perforated plate (to prevent foaming)

11

Bypass valve

12

Full flow oil filter

13

Oil filler pipe

14

Oil temperature gauge

15

Crankcase breather into oil tank

16

Oil tank breather to air filter

17

Combination oil pressure and temperature indicator

 さて911のエンジン内部のオイルラインを見てきましたが、次はブローバイラインとフロントオイルクーラーラインを見ていきましょう。下図2は964のブローバイとフロントオイルクーラーラインですが、エンジン内部のオイルラインは上記図1とほぼ同じなので省略します。930系フロントオイルクーラーラインは、この964のタイプの原形となってます。

 まずはブローバイラインから見てみましょう、わかりやすいように水色で塗りつぶしました。ブローバイについて簡単に説明しておきましょう。

 ブローバイ:吹き漏れ。吹き抜け。(例)シリンダーとピストンのすき間から圧縮ガスや爆発ガスがクランクケースへ吹き抜けること。

 ブローバイ・ガス:吹き抜けガス。その成分は未燃焼成分HCやCO、燃焼成分CO2やH2O、N2などである。

 ブローバイとは、吹き抜けガスをインテークラインに戻し再燃焼させるシステムの事ですね。ところで下図2で「14 クランクケース・ベンチレーターパイプ6mmオリフィス付き」「15 バイパス・エアパイプ1,5mmオリフィス付き」と『オリフィス』という言葉が出てきてますが、『オリフィス』とは「小穴、口」みたいな意味で、この場合パイプの内径が20mmとしたらそこに20mmの栓を入れるのですが、その栓に6mm、1,5mmの穴が開いているモノと考えてください。ブローバイガスの流れを制御してるのです。アフターファイヤーなどで逆流した場合の不具合や流れる流量を制限します。

 図的には「1 オイルタンク」が横向きになってますが、ブローバイガスの出入り口はタンク上部に設けられてあり、オイルが流れてしまう構造ではありません。

 次はフロントオイルクーラーラインを見ていきましょう。911はドライサンプですので「3 クランクケース(エンジン)」で潤滑したオイルはオイルタンクに戻されます。「3 クランクケース」から「4 オイルリターン・パイプ、リヤ」を通り「5 オイルフィルター」で濾過され、「7 オイルサーモスタット入りハウジング」に流れます。この時、エンジンオイル温度が低い時には、フロントオイルクーラー側にはオイルは流れず、「11 オイルリターンホース」を通り、オイルタンクにオイルが戻されます。エンジンオイル温度が上がりサーモスタットが開くと「6 オイルリターン・パイプ、フロント」から「8 オイルクーラー供給パイプ」へとオイルが流れ、「9 2ステージブロワ−ファン付きオイルクーラー」でエンジンオイルが冷却されます。オイルクーラーで冷却されたオイルは「10 オイルクーラー・リターンパイプ」から「7 オイルサーモスタット入りハウジング」ヘと戻り、「11 オイルリターンホース」から「1 オイルタンク」へとオイルが戻ります。
 以上がフロントオイルクーラーラインの説明ですが、図があると説明しやすいと思っているのは私だけでしょうか?(笑)
 エンジンオイルを交換する時、エンジンクランクケースとオイルタンクと2箇所からオイルを抜きますが、図中「7 オイルサーモスタット入りハウジング」に赤印を付けておきましたが、ここがタンク側のドレンボルトです。オイルタンク内のオイルを抜き取るには、このドレンボルトを外せば、「1 オイルタンク」内のオイルは「12 オイルドレン・ホース」を通り排出されます。

図2

1

オイルタンク

2

オイル供給パイプ

3

クランクケース(エンジン)

4

オイルリターン・パイプ、リヤ

5

オイルフィルター

5a

オイルフィルター・コンソール

6

オイルリターン・パイプ、フロント

7

オイルサーモスタット入りハウジング

8

オイルクーラー供給パイプ

9

2ステージブロワ−ファン付きオイルクーラー

10

オイルクーラー・リターンパイプ

11

オイルリターンホース

12

オイルドレン・ホース

13

カウル

14

クランクケース・ベンチレーターパイプ6mmオリフィス付き

15

バイパス・エアパイプ1,5mmオリフィス付き

16

スロットルバルブ

17

オイルタンク・ベンチレーティングパイプ


次のページへ!