リッターカーを考える&評価する

 

注意:リッターカーという場合,広義では1リッター内外の車を指す場合が多いでしょうが,本タイトルではあくまで1000cc車を中心に,私なりに検証してみたいと思います。

 

車種別評価の索引

日産  マーチ  
ダイハツ  ストーリア  
トヨタ  ヴィッツ  
トヨタ  プラッツ  
スズキ  カルタス  
スズキ  ワゴンRプラス  
スズキ  ワゴンRワイド  
ミツビシ  T−BOXワイド  
フィアット  プント プント画像
フォルクスワーゲン  ポロ  

 

 

 

 

リッターカー市場

ブルの頃までリッターカーといえば,トヨタ「スターレット」,日産「マーチ」,ダイハツ「シャレード」,スズキ「カルタス」が主なものでしたが,永らく日産「マーチ」が主役の座を握っていました。

在は,ダイハツ「ストーリア」(OEM供給であるトヨタ「デュエット」含む),最新版にトヨタ「ヴィッツ」(欧州名「ヤリス」)が加わり,それに日産「マーチ」を含めた事実上この3車種の競争市場となりました。

それぞれの車種が魅力あるものですが,以下に私が個人的に車種ごとの長短を検証してみたいと思います。

,その前に,リッターカーの経済性,燃費,安全性について少し分析してみました。

 

リッターカーの経済性

済性という場合,ここでは燃費を除いた税金等の観点から考えたいと思います。

リッターカーを購入する時点を除いて,毎年の必要経費としては自動車税,任意保険,最初の3年を除く2年ごとに強制保険と車検諸費用がかかるのは当然です。

動車税は,現在のところ,1000cc未満で29500円,1000cc以上1500cc未満で34500円です。それに比べ,軽自動車では5ナンバー7200円,4ナンバー4000円となり,1000ccと660ccでは実に4倍以上,額で20000円以上の差があります。この点に関しては,こと個人的なユーザーにとっては差が大きすぎると言わざるを得ません。どちらかが高すぎるか低すぎるかでしょうが,もっと差が縮まって然りと考えます。

意保険については,対人・対物・搭乗者等の基本部分と,車種ごとに料率の変わる車両保険があります。車両保険についてはマチマチなので,対人・対物等の基本部分のみについての料率について考えてみます。現在,多くの保険会社では,その部分の料率は,普通車ではA,B,Cの3段階しかありません。Aは1500cc未満の普通車,Bは1500cc以上2500cc未満の普通車,Cは2500cc以上の普通車となります。Aが最も安く,順に高くなっています。すなわち,1500ccの車も1000ccの車も基本部分の保険料は全く同じです。この部分についても私個人としては,区分を5段階以上に細かくするなどの措置をとり,小型車を優遇すべきだと考えます。今後保険自由化に伴って,このような動きが活発になるのを期待しています。

制保険に関しては,自家用乗用車(普通車)の場合,24ヶ月で27600円です。軽自動車では,24ヶ月で20300円です。強制保険は排気量に関係なく,一律となります。普通車と軽自動車の差は小さいと言えそうです。強制保険については最近,国の直営を止め,民間に委嘱しようという動きもありますが,そうなれば排気量による細分化等が行われるでしょう。

(注意)以上の金額は,平成10年度価額を参考にしています。また,離島等での場合は異なる場合があります。

 

リッターカーの燃費

費は私の最も興味ある部分ですが,1000ccの場合の10・15モード燃費で比較すると,表のようになります(99年2月現在,5ドアで比較,km/l)。

    最高    最低 
 AT車   19.6  14.6
 MT車  22.5  18.6

AT車の最高はヴィッツ,最低はマーチです。この差は大きい。今の時代AT車を選択する人が過半数でしょうし,環境問題も含めれば,ATのリッターカーでも20km/l,ゆくゆくは25km/lは達成してほしいところです。

現在では,リッターカーと軽自動車との燃費差は小さくなってきており,特にヴィッツは軽自動車の平均的な10・15燃費を上回っています。また,高速走行や多人数が搭乗した場合では,リッターカーの燃費の方が有利になる可能性が高いでしょう。

 

リッターカーの安全性

席A/B,ABS,シートベルトプリテンショナーはほぼ標準装備されています。最近では,ヴィッツがブレーキアシスト,シートベルト・フォースリミッターを標準装備し,今後は他社でも追随せざるを得ないでしょう。さらに今後はサイドA/Bの装備,サイドドアビームも含めたボディそのものの剛性アップもより進んでいくことでしょう。

現在では,メーカーの努力もあって,安全装備も2000ccクラスと変わらないまでになってきました。今後は,軽い車重により燃費を向上させるにもかかわらず,安全性をも両立するような車をぜひ開発してもらいたいと思います。

 

 

 

 

各車種の評価(独断と偏見)

日産「マーチ」(K11,WK11)

1982年に登場したベーシックカー。92年にフルモデルチェンジされ,現在にいたる。何度かマイナーチェンジを受けるが,92年以降はデザイン,機能とも大幅な変更はない。はっきり言って数年前から日産の稼ぎ頭となっている様子。

現在では,安全志向から両席A/B,ABSを標準装備し,従来は他社に比べ割高感があったものの,比較的安い設定になってきた。

基本のK11(1リッター)のほか,1.3リッターのHK11,そして1.3リッターでカブリオレのFHK11がある。また,現在人気のキューブはHK11から派生している。

なお,99年11月にマイナーチェンジが行われ,K11(1リッター),AK11(1.3リッター)となり,さらに,ミニステーションワゴンタイプとしてBOX(WK11:1リッター,WAK11:1.3リッター)が追加され,カブリオレは廃止された。また,4WD仕様(ANK11,1.3リッター)も追加された(ただし,BOXには4WD仕様は設定なし)。

特徴としては,エンジンの設定をいじることにより出力・トルクをやや高めたこと,また,燃費効率を向上させたことが挙げられる。燃費数値としては,通常のAT仕様でもK11タイプで従来の14.6km/lから16.6km/lへアップし,CVT仕様においては18.0km/lをマークしている。おお,日産もやるなあ,といいたい。しかし,エンジンが開発されてからほぼ10年が経過していることもあり,最新のVVT等を装備したエンジンにはパワー,燃費ともかなうはずもなく,現在のマーチのエンジンではこのくらいが限界ではないかと思う。

次期マーチの開発は,日産の総力を挙げて取り組まないと,世界のマイクラは衰退してしまうのではと危ぶんでいる。時代は燃費,環境,安全,機能を求めている。ますます小型車の時代になる。手抜きはできないはずだ。

長所:だれもが乗れる本格的なリッターカー。モデルチェンジ期間が長い。

短所:衝突安全性等,安全性で他車に見劣り。フルモデルチェンジが期待される。

 

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ダイハツ「ストーリア」(M100S)   

1998年に登場した新型1000ccシャレードともいうべき車。シャレードは現在1.3リッター以上になってしまったが,ダイハツがリッターカークラスでの名誉挽回を果たすべく,本気で開発したらしい。安全面ではトヨタの思想がかなり注入されており,マーチをリードしている。

4WD仕様(M110S)も選択でき,北日本などでは実用的。

また710ccの4WD,ターボ仕様(M112S)もあり,選択の幅が広い。ただし,M112SはABSが標準装備でなく,快適装備がカットされている。あくまで趣味的な車。

長所:女性に合うソフトなデザイン。ラゲッジも車格に比べて広い。

短所:トールが低くキャビンが犠牲。振動の多い3気筒(経済性では長があるかも)。

 

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トヨタ「ヴィッツ」(SCP10)

1999年冬に日本で登場した本格的リッターカー。98年に欧州で発表され,かなりの注目を集めた。トヨタはヴィッツを世界的に販売し,好燃費により環境問題に真剣に取り組むつもりらしい。「プリウス」だけでは量産性に無理があるし,個人ユーザーレベルではまだちょっと価格が高い。ヴィッツのような量産可能な小型車により,全体的な数量で地球的な環境問題に取り組もうというトヨタの思想は敬意に値する。

長所:ATで現在最高水準の燃費。先進的な内外装。

短所:ラゲッジが狭い(新登場ならばこそ可能な限り広くとってほしい)。

 

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トヨタ「プラッツ」(SCP11)

1999年8月に日本で登場したヴィッツの兄弟車で,4ドアセダンの仕様となる。1000cc(SCP11)と1300cc(NCP16),1500cc(NCP12)のエンジンタイプがある。1300ccは4WD専用で,1000ccと1500ccは2WDのみとなる。

リッターカーを主題としているため,1.5リッター,1.3リッターについては多くは触れない。1リッターのATについてみると,全長4.15m,全幅1.66m程度の車格で,10・15モード燃費が19.6kmである。これは,開発で非常に努力した数字だと思われる。実際上ヴィッツと変わりない。これで,ヴィッツよりユーティリティが優れるわけだから,私ならこちらを選択する。

燃費でみると,1.5リッターの2WDもATで17.6kmであるので,1.5リッタークラスでは最高水準である。ロングドライブなどの用途の多い場合は,1.5リッターを選択したほうが良いかもしれない。最高出力も110psとなる。

安全性能,環境性能はもとより,居住性能,収納性能を高い次元で両立させるとこんなカタチになるのだろうか。いずれにせよ,20世紀末の現在,小型車で最高水準のものを選ぶとすると,プラッツになると思う。ただし,もう少し,デザインをひねってもらいたかったし,このような世界戦略車がボディカラー全7色ではちょっとさみしい。

なお,同時期に発売されたヴィッツのもうひとつの兄弟に「ファンカーゴ」(NCP20:1300cc,NCP21:1500cc,NCP25:1500cc・4WD)がある。ワゴンRタイプの車体に,リアシート床下収納フルフラットが一番の売りであろう。こちらはAT仕様しかない。燃費は1.3リッター2WDで17.2kmと,車重がやや重い割にはまあまあである。

長所:ヴィッツより実用的なキャパシティ。ラゲッジルームの広さは絶品。この車格で車両重量850kgは軽い。

短所:外観デザインはヴィッツを超えていない。特にフロントグリルの処理が甘い。

 

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スズキ「カルタス」(AA44S,AB44S)

1984年よりGMのOEMとして日本でも販売されている。登場したのは古いのに,市場としては成功しなかったといえる。小型車分野ではトヨタ「スターレット」,日産「マーチ」がしのぎを削り,他メーカーはおこぼれを授かるに過ぎなかったのだから・・・。1994年より登場した「カルタス・クレセント」が1998年に「カルタス」として販売されるに至り,リッターカーとしてのカルタスはその幕をほぼ閉じることになった(まだ,1リットルは販売されていると思う)。リッターカーファンとしては「カルタスよ,おまえもか」と言いたくなるくらい,何とも寂しい。

スズキに限らず,リッターカークラスは,ワゴンRをはじめとするミニバンにそのバトンをタッチさせようというのだろうが,誤解を承知であえて言うなら,純粋な乗用車(セダン,ハッチバック)こそ,メーカーの本来の精神が活かされると思う。猫も杓子もミニバンの格好をしていたのでは,町中も殺風景ではないか。選ぶ楽しみも薄れる。スズキには本当の意味で,小型車を作れるメーカーとして,今後は世界的にがんばってもらいたいと思う。

 

 

 

番外編

スズキ「ワゴンRプラス」(MA63S)

1999年5月にスズキと米ゼネラル・モータースとの共同開発第1号として発売された。ワゴンRワイドの後継車。

日本だけでなく世界的に販売していきたい方向で,2000年以降は欧州でも生産する予定。エクステリア・デザインも,新型ワゴンRを基調として丸みを帯びて一新された。特筆すべきはテールランプが従来のバンパー位置からリアドア位置に上がったこと。視認性は高まった。また,エンジンは現在はやりのVVT(可変バルブ・タイミング)を採用し,LEV対応とした。

ワイドとくらべ,全長で110ミリ(3,510ミリ),全幅で45ミリ(1,620ミリ)大きくなった。全幅をむやみに拡大しない点は評価できるが,全長は1998年秋の軽自動車の規格アップ数値そのままの拡大にとどまる。本格的に5人家族の使用に耐えるように,全長を現状より100ミリ程度は長くして,それを全部ラゲッジルームの拡大に当ててほしかった。

また,VVTと新開発ATにより,燃費を向上したというが,全グレードで1割も向上していない。やはり,CVTを搭載しなければ効果的に燃費向上できないということだろう。

プラスになって,マニュアル・ミッションが廃止されて,全グレード4速オートマチックのみとなった。また,両席エア・バック,4輪ABS,ブレーキアシストを標準装備し,安全性能が格段に向上した。

全般的な作り・仕様において,リッターカークラスで最もお勧めの1台である。

 

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スズキ「ワゴンRワイド」(MA61S)

1997年にワゴンRのコンポーネンツを最大限利用して作られたミニバン。

ワゴンRの横幅を広げただけといえばそれまでだが,小さい車体で意外によく考えられている。さすが小型車のノウハウの多いスズキだけある。

しかし,横幅を広げたのなら,縦幅も広くしてラゲッジを広くとるなどの工夫が欲しかった。また,何でもかんでもターボ付きという昔ながらの日本車作りが感じられ,若者は良いのだろうが,ファミリーユースでは本当に必要なのか分からない。

ワゴンRが98年秋以来新規格になったので,ワイドにも新規格を与え,ホイールベースを長くし,室内を広くするなど,進歩を期待したい。

また,ATにおいてもCVTが花盛りだが,どうせやるならターボのパワーにも搭載可能なCVTを開発してもらいたいものである。

ワイドにも4WD仕様(MB61S)がある。

 

 

 

ミツビシ「T−BOX WIDE」(GF−U65,66W)

1999年5月に,軽自動車タウンボックスをベースに,1.1リッターのエンジンを搭載したモデル。エンジンはトッポBJワイドと共通。

特徴は,4シート+2シートで,計6人乗車できること。全長3.6メートル程度で6人乗車できるのは,初の快挙である。ワンボックスがゆえに,非常にユーティリティに優れる。4人乗車時においては,かなりラゲッジをかせげる。

しかし,個人的に惜しいと思う点は,5人乗車と広いラゲッジを両立できないこと。ファミリーユースの場合には,後部座席が3人乗車できるほうが,なにかと便利だと思うのだが。

ともかく,リッターカークラスで,室内の広さを最優先するなら,この車の右に出るものはない。車を道具と割り切った場合,ひとつの結論がこのT−BOXになるのだろう。

ラゲッジは犠牲になるが,より乗用車性を優先するなら,トッポBJワイド(GF−H43,48A)の選択が良いのだろう。

 

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フィアット「プント」

1993年に登場したフィアットの小型車。現在,日本では3種が売られている。

一般的なプント・セレクタ(176AR5)(5ドア),エンジンをチューンしたスポーツ仕様のプント・スポルティング・アバルト(176BV3)(3ドア),カブリオレのプント・カブリオ・セレクタ(176AR2)(4シーター)で,ともに1.2リッター。

イタリア本国ではセレクタの場合,1.1リッター,1.2リッター,1.6リッターと3つのエンジンバリエーションがある。また,それぞれMT,AT(CVT)がそろっているが,日本国内にはATしか入っていない様子。

取り上げた理由としては,そのデザインがただならないと思ったため。一見では,さしてぱっとするデザインではないが,外装,内装一つ一つみれば,デザイナーのセンスの良さが光っている。ここいらへんは,日本のメーカーも勉強して欲しい。

惜しむらくは,現代のような安全志向の時代となっては,ABS仕様が設定されていないこと。スポルティング・アバルトだけABSが設定されているというのも,片手落ちな気がする。A/Bのみでは今のユーザーは納得しないのではないだろうか。

おまけ:プントのオリジナル画像

 

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フォルクスワーゲン「ポロ」

1996年に日本でも販売開始になったVMの小型車。3ドアと5ドアがある。かの欧州ではかなりのヒットになり,VM好きの日本でも,かなりの売れ行きを見せている。ポロの上位車種であるゴルフは,現在4世代目になって,車体も大きく肥り,高級車臭を漂わせ始めているので,元来の小型車精神は完全にポロに移行したといえる。安全面でも,ABS,デュアルA/B,シートベルトプリテンショナーが装備されるなど,充実している。デザインもVWぽくドイツ風であり,日本人好みといえそうだ。

日本に入ってきているのは1.6リッター(6NAHS,6NAEE)のATのみ。本場の欧州では,他に1リッター,1.3リッター,1.9リッターディーゼルがある。安全装備もあり,現在のポロは車重が重めなので,ATでは1.5リッター程度は必要との判断だろうが,日本でも1リッターMTや,1.3リッターATが欲しいという声は必ずあることを,販売店側も理解すべきだろう。

経済性の点では,やはり通常の市街地モードでの燃費となるとかなり悪化することを覚悟しなければいけない。高速走行重視のエンジン特性と,車重のせいだろうが,メーカーとしては,やはり車体の小型化と居住性の両立,車重の軽量化と安全性の両立を,高い次元でバランスさせて欲しい。この点に関して言えば,国内メーカーの方が外国メーカーより技術が先んじていると思う。

 

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