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   簡体字「血型」サイトウォッチング



中華人民共和国の血液型事情を探る

 「血型」とは中国語で血液型のこと。いままで血液型を話題にするのは日本だけだと言われてきましたが、実際にはweb上には血液型と性格等に関するかなりの量の中国語のコンテンツが存在しています。以前から気になっていたのですが、ついついそちらのほうの探索はさぼってしまっていました。そこでホームページ開設を機に中国で血液型がどの程度普及しているのか、実際にサイトを見ながら少しずつ分析していこうと思います。

 ところで、簡体字というのは中華人民共和国で採用されている漢字の正式な表記方法です。これから紹介していくサイトはたぶんすべて中国語のサイトだと思いますので、ご使用の環境では表示できないことがあるかもしれませんが、インターネットエクスプローラーならフォントをインストールすれば見ることができるはずです。草書のような省略形をそのまま活字にしていますので日本の漢字とは少し形が違いますが、同じものも多いので、雰囲気だけでなく、意味もおおざっぱにわかると思います。面白いですからぜひアクセスしてみてください(ただし、リンクを辿っていくと時々ウイルスを感知したりしますので、深入りは禁物です。それからサーバーか回線などの問題でつながらないことも多く、根気が必要です)。

 目 次
1 血型網 www.oabab.com
2 新浪星座 血型与人生
3 網絡中国 星座頻道―血型頻道
4 血型―百度百科
5 皖南医学院弋磯山医院

        


1.血型網 www.oabab.com

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 1−1 「谷歌(Google 中国版)」からキーワードを「血型」で検索すると、一番最初に出てくるのがこのサイトです。日本語にすると「血液型ウェブ」といった感じでしょう。しかしこのサイト自体は献血の普及を目的としていて、そのために人気のABO式血液型関連のコンテンツを入れているということのようです。トップページにも無償の献血を奨励する広告がたくさん入っています。わざわざ無償献血と書いているのは、これまで有償の献血(と家族献血)が主だった献血事情を反映しているようです。

 「私たちについて」というページには、「このサイトは血液科学の知識普及と理論的応用を公益のための宣伝と結びつけるものです。」とあり、そのために「血液型と相性、性格、偉人、恋人、人生、星座などの人々の楽しめるコンテンツも入れています」と書かれています。たしかにリンクのページから飛べる各地の「血液中心(血液センター)」や「血駅(同じ)」のサイトを見ると、どれも真面目な内容で血液型と性格などのコンテンツは入っていないようなので、これはあくまで娯楽としてやっているんだ、というスタンスのようです。ニュースによると、最近の中国では自主的な無償献血率98.5%という数字が実現したとのことですから、宣伝効果は抜群と言ったところでしょうか。


 1−2 サイト名にもなっているURLのロゴを見ると、OABAB.COMというのは、O−A−B−ABの順番から命名していることがわかります。トップページの右下を見ると、「あなたの血液型は何ですか?」という投票欄が設けられていますが、その順番も同じなので、もしかしたら中国人の血液型の比率から採用しているのかもしれません。「査看(結果を見る)」というところをクリックしても同じ順番ですが(全部で37624票入っています)、これはネット上の投票なので参考数値としての意味しかないでしょう。中国は場所によってはA型よりB型のほうが多いというデータもあるようですから、この順番の根拠が何なのか、興味深いところです。


 1−3 さて、肝心の血液型と性格などのコンテンツの内容ですが、各血液型ごとの性格の特徴にはじまって、膨大な量です。ですが、ざっと見たところあまり深い内容ではありません。参考までに私の血液型であるA型の特徴について書かれているページを訳してみますと、こんな感じです。

 「A型の人は穏やかで落ち着いていて、物静かで、情緒的であり、執着心が強く、注意力があります。あなたが一番魅力的なのはにこっと笑った時です。あなたに適した職業は秘書、教師、看護士、作家、芸術家です。あなたの幸運の場所は図書館、コンサート会場、美術館です。ハンカチや花柄のスカーフを身につけるとラッキーなことがありますよ。ラッキーナンバーは3と6です。」

 どうやら、女性を意識して書かれているようです。かなりいいかげんな内容ですが、なかにはけっこう力を入れて血液型と性格の関係を説明している記事もありますので、記事によって密度のばらつきを感じます。複数の人が書いているのかもしれませんが、サイトとしての統一感は今ひとつです。


 1−4 「血液の常識」というコーナーに「血液型と性格に関係はありますか?」という記事がありました。試しに訳してみましょう。

 「人の性格は行動の表現であり、精神のカテゴリーに属していて物質のカテゴリーには属しません。性格は遺伝基因物質(遺伝子のことか?)ではないので、遺伝しません。人の性格は生れてからだけのものでしかなく、環境等の様々な要因の影響を受けてだんだんと形成されるものです。同時に人と接する年齢になったり環境が変わると変化するもので、けっして”本性変わり難し”ということはなく、可塑性を具えているのです。よって理論的にも実際にも血液型と性格の間にはいかなる必然的関係もないのです。」(2007年5月28日の記事)

 中国の心理学の専門用語が入っているかもしれませんし意訳している部分もあるので正確な訳ではないと思います。精神と物質というカテゴリーに分けているのはたぶんマルクス主義的な心理学の理論が背景にあるのでしょう(私は素人ですから、雰囲気が分かる程度の訳ということでご了承ください。あくまでも中国で血液型がどんなふうに普及しているかを知りたいだけですので)。なんだかつっこみどころ満載な感じですが、とりあえず放っておきます。

 このサイトの主なコンテンツは2004年から2006年にかけて作られています。作成しているのは遼源市というところにあるポータルサイトの運営会社のようです(リンクが貼られていますがクリックしても表示されません)。どうやら総合的に考えると、献血の普及目的のために血液型と性格関連の記事を載せたサイトを作ってかなりの成果を挙げたけれども、専門家から科学的な根拠について疑義が出されて更新がストップし、このような血液型と性格の関係を否定する記事を掲載することに至った。そして現在は血液科学の様々な知見を紹介する啓蒙的な記事を増やしつつある、ということのようです。


 1−5 1−1で見たように、中国の無償献血キャンペーンは相当の効果を挙げているようですので、このサイトが果たした役割もたぶん大きいのでしょう。今年に入って記事が更新されていない感じですが、それでも無くなることなく続いているのは、中国国内の血液型人気が相当なものであることを示唆しているのかもしれません。

 本当はこのサイトの血液型と性格関連の記事の内容をもっと詳細に分析すると面白いのですが、根拠が明示されていませんし、何となく市販の書籍やネット上のテキストをアレンジして作っているような気もしなくはないので、今後余力があればもう少しつっこんでみることにして、ひとまずこのサイトの考察は終りにします。(2008.08.15)

        

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2.新浪星座 血型与人生

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 2−1 新浪網は SINA Corporation の提供する国内外の中国人のためのポータルサイトのようです。英語の説明ページもあるので、興味のある方は直接ご覧いただくとして、今回紹介するのはその星占いカテゴリーのなかにある血液型のサイト、「血液型と人生」です。

 左右のサイドの星占いのコンテンツに挟まれているので、一見すると占いサイトのようですが、コンテンツの見出しを拾ってみると「血液型と性格」「血液型と愛情」「血液型と人間関係」「血液型雑談」となっていて、けっこう真面目で本格的な感じです。

 ページトップの説明を訳してみましょう。

 「血液型の研究は、ある意味で医学・生化学と関係あるだけでなく、人々の思考・性格・気質・行動、さらには人類社会の政治・経済・文化などの社会活動とも密接な関係があります。ですから、血液型の研究は社会科学の一分野となるのです。」

 その説明のすぐ隣りには「B型血男友」(たぶん韓国の映画「B型の彼氏」のことでしょう)と書かれた写真が掲載されています。


 2−2 さらにFAQのようなところに「星座と血液型は違うのですか?」という記事がありましたので、訳してみます。ここで言う「星座」というのはたぶん占星術のことを指しているのでしょう。

 「星座と血液型は違うのですか?――同じようなところもありますが、かなり違います。両者はともに人の性格や人間関係を研究していますが、星座は主にある人が生れた時の星の分布の状況から彼の生まれ持った性格とその後の運命を推し測る、命理学に属します。血液型は、血液型の異なる人の気質特徴の観察と分析を通して結論を導き出したものです。さらに血液型の場合は、血液型の異なる人が何かを行なう時の心理的な感じ方、特に人と人との関係で生まれる微妙な心理を重視しています。厳密に言えば、血液型は心理学に属しているのです。」(2001年4月18日の記事)

 このサイトでは、血液型は占いというよりも、心理学的なカテゴリーで考えていることがわかります。しかしながら、右サイドでは血液型と星座を組み合わせて性格分析ができるようになっていたりするので、その線引きはあいまいだと言えるでしょう。


 2−3 2−1で訳した部分は、「血液型と性格」のコーナーの「血液型(研究)発展の歴史」という記事のなかから抜き出したもののようです。その前の部分ではABO式血液型の発見などが解説されていて、その後には次のように続いています(一部省略して訳します)。

 「国外、特に日本では、人類学者たちがすでに血液型の研究を新しい科学の一分野となし、研究を続けています。日本の著名な人類学者である能見正比古、彼の息子の能見俊秀、鈴木芳正、鈴木健二、古煙種基らは血液型を主に研究し、人の性格や気質、恋愛、婚姻、男女関係、人間関係、心理条件等の様々な領域の研究において多くの成果を挙げています。

 我が国の血液型研究においては、まだ体系的な研究はされておらず、ただ一部の翻訳された資料から国外の血液型の研究動向をおおまかに知ることができるのみです。

 我が国の民族の歴史、文化、伝統、倫理道徳、社会制度、生活環境等は外国のそれとはかなりの違いがありますので、外国の血液型研究の成果をそのまま機械的に当てはめることはできません。それらは参考程度のものなのです。

 血液型研究というものは「1+1=2」のように世界中どこでも同じような結果が出るものではありませんが、私たちはその科学性と現実性のゆえに、人間関係に対処したり、個人の心理を調節したり、長所を発揮したり失敗を避けたりするのに、知っておくべき一つの課程であるのです。

 血液型研究の成果はまさに多くの人々の強烈な関心を呼び起こしており、その知識によって素直に自己分析を行ない、互いに評価しあうことができています。

 新しい知識の普及はけっして簡単ではありません。現代社会においても新しい物事を頑固に拒否する人々は少なくありません。これは人生観や世界観などの知識が改められる時にはよくあることです。ある意味ではガリレオやコペルニクス、ダーウィンの時代と大差ないのです。

 科学の急速な発展によって様々な情報が日進月歩を続けています。私たちは自分の心を開き、生活や知識に向き合って新しい物事を受け入れる必要があります。そうすることが健康な身体と健康な頭脳にとってとてもよいことなのです。」(2001年5月24日の記事)


 2−4 この記事の中で日本人の名前が少し変ですが、そのままにしてあります。このうち「古煙種基」は「古畑種基」のことだと思われますが、「畑」という漢字は国字で日本でしか使われないため、「煙」という字の簡体字(火へんに因)と似ていることからその字が当てられていると思われます。また、ここで「人類学」と言っているのは、「血液型人間学」の「人間(中国語では世の中、世間の意)」では意味が通らないので、「人類」と言い換えているのだと思います。

 この部分は書き手の高揚感が伝わってくるようです。初めて血液型の知識に接して実際に血液型で人を観察してみて、何らかの手ごたえを掴んだという新鮮な感動を読み取れますし、血液型による人間観察の知識が実際に中国でも多くの反響を呼び起こしたことが伺われます。2001年という年に何か血液型ブームのようなものがあったのかもしれません。このサイトの血液型関連の記事も、主に2001年に作成されているようです。

 ここで、この記事から読み取れることを挙げてみましょう。

 ア) 2001年当時、中国では一部の翻訳文献しか資料がなかった。
 イ) 血液型人間学は科学の一分野として紹介された。
 ウ) 血液型による人間観察の知識の主な発信元は日本であった。

 こんなところでしょうか。ちなみに、この記事のなかで外国の血液型研究の成果はあくまで参考程度に考えるべきと言っているのは、たぶん例えば能見正比古氏が著名人を題材にして血液型による性格分析を行なっても、その人たちを知らない中国の人にはよくわからないというような単純な理由でそう言っているだけだと思われます。

 それは例えば能見正比古氏が『新・血液型人間学』のなかでO型の王貞治氏を取り上げて分析していますが、王選手の現役時代の活躍を知らない今の若い人たちにはもう説明として成り立たないということと基本的に同じだと思います。

 しかし重要なのは、それにもかかわらず血液型による人間観察の知識が中国人にも驚きと共感をもって受け入れられたと思われることでしょう。


 2−5 ところで、中国で発行される翻訳書の場合、それが正式のものかどうか、どこまで内容が保証されているかという問題が存在しています。つまり、いいかげんに翻訳した海賊版から知識を得ているだけかもしれないということです。

 私は、現時点では中国で発表されている血液型と性格関連のテキストを正確に翻訳するような作業に魅力を感じていません。それは、おそらくきちんと翻訳した文献がほとんどないだろうと思われるからです。

 しかしこのサイトはかなり真面目に血液型の問題を追究していますので、作者に敬意を表して記事のタイトルだけでもざっと訳しておくことにします。

 <血液型と人生>

 血液型と性格
 血液型、性格と服装・血液型と自己改造・血液型の医学原理・血液型の性格への影響〜幼少期から大人まで・血液型発展の歴史・O(A・B・AB)型の人の他人との付き合い方・O(OO)型の人の性格の特徴〜英雄型・A(AO)型の人の性格の特徴〜反省型・B(BO)型の人の性格の特徴〜感覚型・AB型の人の性格の特徴〜合理型

 血液型と愛情
 トレンド:「B型の彼氏」登場人物の分析・血液型別の性愛傾向・逆補助関係の血液型の夫婦・順補助関係の血液型の夫婦・相反関係の血液型の夫婦・同じ血液型の夫婦・O型の人の愛情の特徴〜物静かな愛情・A型の人の愛情の特徴〜温和な愛情・B型の人の愛情の特徴〜共鳴する愛情・AB型の人の愛情の特徴〜演劇的な愛情・O型男性とO型女性〜年齢差が大きいほどよい・O型男性とA型女性〜理解しあう夫唱婦随・O型男性とB型女性〜生活の言葉を共有する親密関係・O型男性とAB型女性〜夫が卑屈になるとよくない・A型男性とA型女性〜始めよく終り悪し・A型男性とB型女性〜平和な円満カップル・A型男性とO型女性〜ささいな行き違いに要注意・A型男性とAB型女性〜もっともおしどり夫婦らしい組み合わせ・B型男性とB型女性〜なかなか親密にならない・B型男性とA型女性〜楽しくも摩擦あり・B型男性とO型女性〜妻が夫をコントロールするのはタブー・B型男性とAB型女性〜お互いに刺激しあう・AB型男性とAB型女性〜精神的な喜びを共有しあうカップル・AB型男性とO型女性〜始めが未来を決める・AB型男性とA型女性〜A型の妻の最もよき伴侶・AB型男性とB型女性〜意気投合する円満夫婦

 血液型と人間関係
 O―O:同志愛の組み合わせ・O―A:投手と捕手・O―B:進取に富み実力あり・O―AB:最もビジネス向きの組み合わせ・A―A:危機をはらむ同行者愛的組み合わせ・A―B:意にそぐわないと衝突する・A―AB:互いに尊敬しあって落ち着く・B―B:言葉を共有する友達関係・B―AB:知識集中度が高い関係・AB―AB:外からの攻撃に耐えられない

 血液型雑談
 韓国メディアがB型の男性を自分勝手でがさつで浮気者だとみなす・血液型と犯罪者の結末の関係・血液型別男性の性能力比べ・血液型とレシピ・血液型と私たちの生活・最も完全な教師―学生関係とは・血液型についての比喩・日本は血液型が全てを決める社会・企業が単一の血液型だけで組織される場合の弊害・女性の血液型別の特徴・血液型と民族性・血液型に最も関心のある人は?・血液型から民族気質と愛国主義を見ると・ダイエットのトレンド:血液型と食事・寄稿:AB型女性の結婚観


 2−6 以上、このサイトの概要を見てきましたが、ここには掲示板もあるようです。血液型についても議論されているようですが、まだこのサイトの掲示板のシステムがよくわからないので、またいつか分析してみることにします。

 このサイトには血液型と性格の関係を否定するような記事は見当たりませんが、主要なコンテンツは追加されずに、だんだんと星占いに侵食されつつあるという印象は否めません。これはもしかしたら日本でも血液型占いが主流になりつつあることの影響かもしれません。2−5に訳した記事タイトルのなかにはいくつか訳してみたいものがありますが、長くなりましたので、このあたりでいったんこのサイトを離れることにします。(2008.09.04)

        


3.網絡中国 星座頻道―血型頻道

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 3−1 これもポータルサイトの中の占いサイトのようです。日本語では「星座チャンネル」の中の「血液型チャンネル」というコンテンツです。内容的にはそれほど深いものは見当たりませんが、本日現在 「谷歌(Google 中国版)」で「血型」で検索すると二番目に表示されますので、人気のようです(順位は時々変動しています)。

 このサイトはこれまでに紹介したサイトと比較して次のような特徴があります。

 ア) タイトルに「血型―血型与性格」と書いてあり、コンテンツには性格や気質という言葉が使用されているが、血液型と性格の関係についての踏み込んだ説明がない。
 イ) コンテンツは2005年8月から2008年7月にかけてアップされていて、現在進行形で作成されているが、更新頻度はそれほど多くない。
 ウ) 女性を対象にした男女関係やダイエット関連の記事などが多く、血液型の話題が限りなく占いに近づいているが、まったく占い化しているわけでもない。


 3−2 会社紹介のページを見ると、この「網絡中国 HttpCN 」は娯楽に特化したポータルサイトとして2000年に開設して以来すでに数十億アクセスがあり、現在200万人を超える「網友」(登録会員のようなものでしょうか?)が毎日活動しているとあります。数字については間引いて考えたほうがいいにしても、そのなかで血液型のコンテンツが現在も作られているということですから、中国では現在も血液型の話題がある程度流通しているということは言えそうな感じです。

 それにしても、中国でこのような大きな占いコンテンツを有するサイトがいくつもあるというのは、私のように昔の中国を知っている者にとっては驚きの一言です。中華人民共和国はあくまで共産主義の国であり、占いのようなものは封建的な時代の遺物として表向きは無くなったものと思っていたからです。

 試みに占星術風水のページを見てみますと、記事の更新頻度は血液型のページよりもかなり頻繁で、分量も多いので、人気があると思われます。風水のような、ある意味で中国の近代化を遅らせる要因になっていたようなものが復活しているというのは本当に驚きです。

 ところでこれらの占いのコンテンツに比べると、このサイトでの血液型の地位はかなり低いと言えます。しかしそれは同時に中国では血液型がまだ占いになりきっていないことも意味していると思われます。中国では良い意味でまだ性格神話が健在で、人々は自分や人の血液型も、性格という強固な物差しを通して考えて生きているのではないでしょうか。(2008.09.28)

        

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4.血型―百度百科

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 4−1 「百度 baidu」は中国人のための中国語検索エンジンだそうですが、日本版もあります。社名は宋時代の詩から名付けたとのことです(社名の由来を参照)。

 百度百科は、中国語版の Wikipedia とでも言うべきもののようですが、ここはそのなかの血液型に関するページです。内容の大部分は(正確かどうかは別にして)血液型全般についての科学的な説明のようです。ダダモ博士の名前も出てきます。そのなかに「血型与性格」という項目がありますので、ざっと訳してみましょう。


 4−2 百度百科―血液型―血液型と性格(訳)

 「血液型による性格は、幼少期・少年期・青年期・中年期・老年期でそれぞれ違います。

 ある人が社会に出て、新人からベテランになったり、平社員から出世して役付きになったり、現役を終えて定年になったりする間にも、その人の性格は絶えず変化しています。この変化の中に、血液型の違いによるたくさんの特徴を見て取ることができます。当然のことながら、血液型と性格の間には必然的な関係はありませんので、参考程度でしかないものです。

 A型の人は、子どもの頃はやや身勝手で、青年期になるときっぱりと物事を決める性格になりますが、ときに強がりになります。社会に出て歳を重ね経験を積んでくると、自分の感情を抑え、謙虚で穏やかな態度をとるようになり、自己表現を控える慎重派になりがちです。老年期にはがんこになります。

 B型の人は、ほとんどの場合子どもの頃は天真爛漫で、歳を重ねるにつれて快活なタイプか人付き合いをしたがらないタイプかの二種類の傾向に分かれていきます。B型の人の性格は幼少期から老年期まで変化が小さく、若いほど活発な感じがすると言えます。

 O型の人は子どもの頃は比較的おとなしいのですが、歳を重ねると強烈な自己主張と自己表現を積極的に行なうようになり、非常に決断力のある人になります。O型の人は幼少期から老年期までの変化が最も大きく、子どもの時は従順で歳を取ると強情で譲らなくなることが多いようです。

 AB型の人は子どもの頃はほとんどの人が人見知りをして自分の殻に閉じこもりがちですが、成長すると友達とよく交わり、交際範囲も広くなります。AB型の人は自信過剰になるとうぬぼれやすく、歳を取ると傲慢と受け取られます。」


 4−3 これがこのサイトで血液型と性格について触れているすべてです。ものすごくあっさりとした記述ですが、それだけにかえって中国の人たちの血液型についての考え方がよくわかる気がします。それはようするに、

 <中華人民共和国では「性格」は変化するものだということを前提に血液型の問題を考えているようだ>

ということです。そしてその変化するなかにも「血液型の違いによるたくさんの特徴を見て取ることができる」と言いながら、「血液型と性格の間には必然的な関係はない」と言っていますが、これだけでは意味がよくわかりません。もっともこの百度百科は Wikipedia と同様に読者が編集に参加できるようなので、必ずしも一人の意見だけで記述されているわけでもないかもしれませんが。

 それにしても「性格」が変化するものだというのは中国の心理学の一般的な考え方なのでしょうか? 1−4で紹介した部分にも「性格は変化するものである」という記述がありました。これは今後もう少し調べてみる必要がありそうです。

 いずれにせよ私たちは長いこと「性格は変化しないものである(あるいは、変化しない性格というものがあると仮定する)」ということを前提に血液型との関係を考えてきましたので、中国の人たちの問題設定の仕方にはとまどいを覚えます。中国の人たちは日本の「血液型と性格」についての議論をどう見ているのか、知りたいところです。


 4−4 念のため、中国語の Wikipedia である「維基百科(Chinese Wikipedia)」の血液型のページを見てみましたが、性格についての言及はありませんでした(ちなみに「性格」や「性格心理学」は項目自体がありません)。最後にそこで見つけた香港と北京の血液型比率の数字を書き写しておきます。

香港華人 O型:40%、A型:26%、B型:27%、AB型:7% (香港紅十字会輸血サービスセンターによる)
北京 O型:29%、A型:27%、B型:32%、AB型:13%
(2008.10.26)

          

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5.皖南医学院弋磯山医院

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 5−1 安徽省の病院のサイトの「血液型の知識紹介」というページです。1−4の記事にあった「血液型と性格に関係はありますか?」という記事と同じ文章が掲載されていました。2008年10月21日の作成ですが、病院のサイトですので、この文章は血液型と性格に関して、ある程度中国の医学的な見解を代表していると思ってよさそうです。

参考のために中国語の原文を掲載しておきます。日本語訳も再掲してみます。

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 「人の性格は行動の表現であり、精神のカテゴリーに属していて物質のカテゴリーには属しません。性格は遺伝基因物質(遺伝子/遺伝物質)ではないので、遺伝しません。人の性格は生れてからだけのものでしかなく、環境等の様々な要因の影響を受けてだんだんと形成されるものです。同時に人と接する年齢になったり環境が変わると変化するもので、けっして”本性変わり難し”ということはなく、可塑性を具えているのです。よって理論的にも実際にも血液型と性格の間にはいかなる必然的関係もないのです。」


 5−2 さて、1−4ではスルーしましたが、素人目に読んでも、この文章にはいくつか疑問が残ります。その最大の疑問は「人を精神と物質の二つのカテゴリーに単純に分けて別々に考えることに意味があるのか?」というものですが、それを否定してしまうと中国での血液型と性格の議論すべてが否定されてしまいかねないので、やはり不問とします。

 また、「性格は遺伝物質的な根拠がなく、変化するものであるから、(遺伝子で決定される)変化しない血液型とは関係ない」という言いかたをしていますが、それならば「性格」が気質のような遺伝的要素があるものに根拠をもち、なおかつ変化しないものならば「血液型」と関係があってもおかしくないということになってしまいます。ここには気質というものが考えられていないし、統計学もでてきません。ちょっと議論が荒っぽすぎる気がします。

 どうやら、中国の血液型と性格の議論には、日本と「性格」の定義が違っているという問題が存在するようです。もしも「性格」が時々変わってしまうものなら、そんなものを血液型別に観察しても無駄だということになりかねません。そして中国人は実際にそう思っているということだと思います。


 5−3 中国のウェブサイトを見ていると、時々「日本では心理学者が血液型と性格の関係を否定している」という記事が流れていますが、そこでは日本と中国の「性格」の定義の違いについての説明はどこにもありません。もちろん、血液型と性格の関係を紹介しているウェブサイトにもそのような定義の違いの説明はありません。そもそも肝心の「性格」の考え方が異なっているにもかかわらず、そのことには触れられずに表面的な記事が流通しているだけというのが大勢のようです。 (2009.8.3)

(続く)         

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