平成17年1月の句

鈴なりの初みくじの木神の庭

待つ客へきりり緊めたる寒のそば

旧道の小遊園地日向ぼこ

寒風を切り土手走る中学生

長坂をのぼる彼方や寒の富士

星冴ゆる古稀へ三歩の妻とあり

彗星を探せる視野に寒昴

オーロラの写真ムービー冬うらら

「産みたての卵あります」春隣


平成17年2月の句

北窓の明るき朝や外は雪

山頂の枯芝温く昼餉かな

春立つや棕櫚の懸けたる鎌の月

春浅し黄色基調の活花展

風邪ひくは例年のこと余寒かな

遠近に人点点と梅の山

梅見酒すすみコーラス早春賦

谷川の水のひびきや春山路

芝青む愛ちゃんが立ちよちよちと


平成17年3月の句

梅林や写生の人の点点と

梅一輪模様くっきり花の裏

麗かやリュックの鈴のしゃんしゃんと

追分や右も左も春の風

立寄れば山門不幸梅盛る

行過ぎてふと振返る丁字かな

のらぼうは菜のおいしんぼ多摩の春

日本晴雲少し出て卒業す

校歌誦友へ手向の彼岸かな


平成17年4月の句

桃林に立ちて緋色に染まりけり

花びらの水の流れに渦ありて

糸桜人形供養観音堂

古稀経るも気の合ふクラス八重桜

山頂の花は二分咲き山仲間

山路来て春椎茸を買ひにけり

野天湯に漬かり眼福春の花

春潮の九十九里浜日の出かな

新緑や大洋望む上人像


平成17年5月の句

大洋に突っ立つ岩や春の濤

現るる南十字や春航路

潮風のデッキに高き鯉のぼり

マリアナ行く船に菖蒲湯ありにけり

サイパンの空行く雲や初夏の風

新緑に新緑重ね箱根山

箱根路の太き虎杖摘みにけり

郭公や旭光を受く掌に

雲流るカクテルバラを震はせて


平成17年6月の句

山荘の旨寝の朝や遠郭公

松蝉や高原の道どこまでも

夕蛙光り流るる雄物川

平鹿野を見渡す丘や朴の花

早苗田の海に浮きをる森と村

涅槃仏泰山木の花の下

蓮池の水面平らに牛蛙

雨上る石畳道手毬花

草陰の螢の墓か仄明り


平成17年7月の句

語り行く自然歩道や青田風

鳴谷の滝の響きに包まれて

雨上り山蛭の待つ道なりし

登り来て湿原涼風ありにけり

大雪渓滑るスキーの点点と

爆音の道に轟く炎天下

夏木陰八幡宮の男坂

流れ来るプール歓声留守居かな

夕焼に飛行機雲のしるきかな


平成17年8月の句

不忍池覆ひたる巨大蓮

棕櫚の木を咲きのぼりたる烏瓜

烏瓜の花のほどけて月青し

土の色の動くと見れば蜥蜴なる

散策路蝉の合唱ありにけり

大滝の響きの中の昼餉かな

滝川に冷えたる茄子を塩で揉む

片冷えにふと目覚めけり今朝の秋

竹と竹の触れ合ふ音や秋立ちぬ


平成17年9月の句

炎天に待つ人の列パビリオン

秋暑し直立円筒赤ポスト

六廻りを愚直に生きて秋の蝉

朝顔の今朝も百発開きけり

風のままに鳶たゆたふ稲田かな

残り香や秋草刈りし土手の道

長き夜や兄弟酒を酌み交す

二筋に競ひ落つるや秋の滝

田の向かう山どっしりと曼珠沙華


平成17年10月の句

里芋の葉の水玉の光る秋

錦秋や血の池おどろ恐山

秋白き賽の河原にガス噴いて

秋風に食む寒立馬面上げて

岩が根につまづく齡秋山路

秋の雨大磯小磯通りけり

母の忌や道にやさしき秋桜

秋の辻城下の婦人話し好き

秋空を区切り孤高の大銀杏


平成17年11月の句

箱根路の雲一つなき小春かな

水澄むや鯉悠々と転回す

石階の紅葉の奥の空透いて

ふるさとの松茸酒もて乾杯す

錦秋の山の湯の町ケーブルカー

夜の雨の止みすっきりと冬立ちぬ

茶の花や彼方に光る伊勢の海

明け初むる宿場一筋石蕗の花

もてなしの笑顔になごむ冬の旅


平成17年12月の句

湖の木の間に光る小春かな

柿の実の実りたるまま高きかな

姫松に銀杏黄葉のふりかかる

檀の実の雲をバックにはじけたる

留守居して硯に向ふ花八手

ぼろ市や茶碗の値段折り合ひて

ともかくも無事がなにより柚子湯かな

水底に鯉の談合年の暮

羽子板と羽子並びをり文具店