平成18年1月の句
産土のかがり火あかし初詣
かけ声も揃ふこどもの初太鼓
雪降るとの予報違はず朝の庭
雪降るや三角四角町の屋根
雪下ろしよりも難儀な雪移し
雪を掻く学園の子に粉雪舞ふ
雪渡る風に向かひて歩きけり
冴え渡る丹沢箱根天城山
見晴しの丘に菜の花満ち満ちて
平成18年2月の句
袖ゆらし児童豆撒く不動堂
道端の雪の堅さや冴返る
餅搗けばこども湧き出す広場かな
梅ふふむ酒造女将の凛として
初物は庭のさ緑蕗のたう
黒土の国分寺跡や草萌ゆる
春眠の孫の寝顔はお月さま
氷上の舞姫達や五輪花
氷上に君が代流れ日の昇る
平成18年3月の句
折鶴二羽リュックにかかげ春を行く
ばあさまのいと話し好き春の道
二人行く多摩の横山梅盛る
根っこまでそっと大事に野蒜掘る
湯の宿の車を待てば山笑ふ
ゆったりと六間川や水温む
春潮に小舟寄り合ふ入江かな
ふんわりとビルの谷間に春の雲
一筋の道に日出づる彼岸かな
平成18年4月の句
銅鑼が鳴る春雨けぶる出船かな
南国は初夏火焔樹の花咲いて
炎天に立つ慰霊塔海深し
天の川南十字の舞台なる
釜あげの白子さかなに昼の酒
左富士雲にかくれて春の道
菜の花を風にまかせて潤井川
伸び過ぎのすかんぽ並ぶ一里塚
山吹や祭太鼓が遠くから
平成18年5月の句
川渡る空に五列の五月鯉
野の風に撓ふポールや鯉幟
成蹊のけやき並木や風薫る
緑陰に手造りキムチ古里庵
利根運河土手いっぱいの姫女苑
新緑を溶かししづもる山の湖
温みある信楽茶碗緑雨かな
上りつく青葉の峠富士かすむ
どよめきや滝走り落つ急斜面
平成18年6月の句
戸を繰ればくちなし匂ふ狭庭かな
山荘の夜の独酌や梅雨しとど
高原の郭公の声雨かこつ
新茶淹れ客へ追分菓子処
風鈴に誘なはれ京小物店
千年の皮を残せし樟若葉
よく似合ふあなたとあやめ雨の中
早苗田のパースペクティブ青集ふ
闇のやと螢灯りのなかりけり
平成18年7月の句
生臭き水の溢るる青田かな
山門に半夏生草旧街道
穴窯の奥の暗闇蓮の鉢
一歩一歩暑き登りや岩清水
汗しとど太神山を登り切る
夏山や眼下に琵琶湖広がれる
礼拝し三井の鐘つく夏の暮
山せまる川に泳ぐ子十四五人
住んではや四十年ここ盆踊
平成18年8月の句
東北道車窓流るる夾竹桃
かなかなや夕映えの森五重塔
登り来て霧いよよ濃きお花畑
夏山の雲は気紛れ山上湖
秋立つやバカラのグラス音澄みて
秋風や生前墓の草を抜く
夕暮れて法話ありけり盂蘭盆会
寺社林に鈴虫祭読経かな
星月夜水金地火木土天海
平成18年9月の句
秋初むや箱根細工を妻に買ふ
良き秋や国に親王生れましぬ
朝顔の紺をつくして壁のぼる
彼岸までと言へど厳しき残暑かな
鯖雲の下吹かれ行く千切れ雲
赤とんぼ山桑の実のまだ固き
紅白の彼岸花生け旅籠かな
山路来てここ夜泣石秋彼岸
長長と木橋かかる秋思かな
平成18年10月の句
朝顔の開くに重き夜の雨
漏刻の博物館や秋の雨
天高し北山杉のすくと立つ
戸の開いて舞妓ぽっくり十三夜
鯉に餌やる巫女二人紅葉かな
紅白の残んの芙蓉寄り添うて
朝の路アンテナに乗る鵯の対
ふるさとの母の回忌や秋闌くる
そぞろ寒二十七夜の月ありて
平成18年11月の句
外つ人の足の長さや秋の道
さらさらと清音流る秋の川
行く秋を天竜流る悠々と
萩垂れて足をとどむる一里塚
万燈を空に灯して小粒柿
ただ一つ残る柿の実鳥のため
弦月を枝に吊して樟大樹
湯河原の山の紅葉や杉の宿
ふるさとの友の叙勲や菊薫る
平成18年12月の句
洛北や銀杏黄葉の並木道
外つ国の言葉飛び交ふ京小春
訪ね来て残んの紅葉神峯山寺
小春日の本陣跡や美容院
ただ一人清滝川の冬を行く
北風の道を上ればカレー店
冬の旅ユースホステル天文室
海中に冬日きらめく鳥居かな
今年また転機乗り越え柚子湯かな