平成19年1月の句
初詣こども太鼓の高ぶりに
寒空に乳母車の子よく眠る
岸に沿ふ水ゆれて鯉冬うらら
寒風を来て寅さんの記念館
冬の夢扉開くればまた扉
ふるさとの句友の訃報寒夜かな
菜の花の彼方に光る相模灘
新造の遊園地とビル春隣
凧あがる柴又の空どこまでも
平成19年2月の句
葉牡丹や人気なきバス停留所
梅林や富士真白なる曽我の里
真青なる空のカンバス梅の花
青空に生まれぽっかり春の雲
春の川春の水とてさらさらと
春の湯にトラウメライの曲流る
沈香に足とどめたる薬師堂
ここかしこ芭蕉の句碑や春の道
尋ね来て名代田楽菜飯かな
平成19年3月の句
菜の花や多摩の山々多摩の川
田道間守の歌に道づれ得てうらら
嵐去りて明けすさまじき猫の恋
春燈下一と年前の友の顔
熊野宮どろろんどろろん春太鼓
橋渡る人影ゆるる春の水
茅葺きの良寛堂や春の雲
行くほどに春雪深む山の道
早咲きの桜を散らす嵐かな
平成19年4月の句
家々にそれぞれの花春の道
今年また蔦青みたる古き壁
石鉢に子安地蔵のめだか住む
春の夜の更けて余市のウィスキー
水草に流れ花びら捕はれて
一里塚榎新緑広がれる
新緑やせせらぎに沿ふ風の道
春愁や宮の渡しの舫ひ舟
さくさくと野草天ぷら山遊
平成19年5月の句
初夏の空テープきらめく出船かな
夏航路菩薩姿の岩の立つ
日除かけデッキ賑ふランチかな
サイパンの夏火焔樹の花燃ゆる
夏雲や縞の濃淡海の色
漸くに墓定まりて新樹光
早苗田に影を落として鷺一羽
十薬の舗道隙間の命かな
馬鈴薯の花や海抜ゼロの道
平成19年6月の句
アベリアのかすかに匂ふ薄暑かな
葬送の江差追分樟落葉
お蕎麦やに割れぬ割箸梅雨に入る
梅雨を行く橋のたもとの牛蛙
木に明星草に螢や風来たる
紫陽花にキヌエクミコと名のありて
流れ来る香はラベンダか梅雨晴間
目覚むれば鳥も早起き夏至の日よ
追分に憩へば清水ありにけり
平成19年7月の句
友情と名づく滝あり同期会
ラベンダのアイスクリーム真昼岳
緑陰に五代の墓の鎮もれる
夏草や有縁無縁の石塔群
七夕や四辻四本の飾り竹
夕闇に花ほどけ初む烏瓜
手を合はす父母の墓前や立葵
盆踊いよよ最後の輪ひろがる
孫打ちし後悔長き祭の夜
平成19年8月の句
片蔭に寄る人波の舗道かな
頂上の奥や青嶺のなほ高く
蜩や鵜の乱れ舞ふ竹生島
涼風の吹き抜く天守彦根城
夕風におしいつくつく鳴き止まず
熱風の孫来たり去り二人かな
秋立つや友の訃報の不意打ちに
朝まだきペルセウス座の星流る
球児達勝つも負くるも汗みどろ
平成19年9月の句
登りつく峠すず風ありにけり
並木路にローラスケート台風過
朝顔のいよよ咲きたり今朝の庭
水高き川原に一人彼岸花
五七五の筆の習ひの秋夜かな
食卓の椅子にばったの跳び乗って
わが影の土にくっきり良夜かな
一里塚榎を廻る曼珠沙華
草の道人待ち居たるゐのこづち
平成19年10月の句
実むらさき夜来の雨の玉つけて
コスモスの揺れふと止めて写真とる
田園や秋の日淡き春夫の碑
秋の日を流るる文字や良寛書
邯鄲の鳴く音と紛ふ風車かな
滝神の白き長衣や秋の山
秋の雷真上に来たる山路かな
金色の如来ぞ在はす秋しぐれ
石段の尽きて古墳の落葉踏む
平成19年11月の句
空澄むや刃の字並ぶ義士の墓
富士立つや波のリズムの冬はじめ
冬小道不意に屋敷の犬吼ゆる
風冴ゆる学校坂の竹林
唐橋へ銀杏黄葉のふりかかる
石山や紅葉の奥の源氏の間
鴨川の水輪に鴨の動かざる
紅葉照る玄々として五重塔
帰りなむ車窓にのぼる冬の月
平成19年12月の句
小春日のレインボーブリッジ澪光る
追分の冬泉を汲む人ありて
ひとり行く杖つき坂の落葉道
北風や佐佐木信綱かるた道
境内の小富士のかなた富士冴ゆる
百階の塔を仰ぐや息白し
電飾を競ふ師走の家並かな
来る年の賀状書き溜め柚子湯かな
孫どもも来て餅を搗く年の暮