同人シンデレラ

第7夜

王子とシンデレラは舞踏会会場の南側の手すりに移動してきました。
「うわぁ、いい眺め。」
「ここは海が見やすいポイントなんだ。
もちろん、塔のもっと上まで行けばもっと遠くまで見えるけど、 このくらいの高さだと、よく見れば下にいる人の表情も見えるんだ。
つまり、ここは人と自然の融和するポイントとも言える、 だから僕はこのポイントが気に入っているんだ。」
「へー、お兄ちゃんは詩人みたいですね。」
「・・・よかったら、君の名前を教えてほしい。」
「あ、あの…」

そのとき、シンデレラの脳裏にハルおばさんとの約束が浮かびました。

>1つ、自分の素性は秘密にすること。

「あ、あの…」
「あ、もちろんレイヤーネームでいいんけど・・・。」
「レイヤーネーム?」
「?
あ、もしかして、コスプレは初めて?
それにしてはずいぶん完成度の高い衣装だけど…」
「実はこれ、おば様から借りたものなんです。」
シンデレラはちょっとてれながら答えました。
王子の萌えゲージ1UP。

その後も2人はしばらく会話を楽しみました。




>3つ、14時までには会場を出ること。

13時50分。
「ごめんなさい、私、14時までに帰らないと。」
「もしかして、売り子の交代時間?」
「え、えーと・・・」
「ブース番号を教えてくれれば、僕も後で行くよ。」
「あ、あの、ごめんなさい。」
「ごめん、でも最後に一つだけ、また明日も会ってくれる?」
「ごめんなさい、私にもわからないんです。
でも、今日は楽しかったです。
じゃあ。」
シンデレラは王子に別れをつげて、舞踏会会場を後にしました。


【本日の王子チェック】
可憐ちゃんのコスプレをした女の子
ランク特A
コスプレは初めて。
親戚のおばさんに連れられてきた。
親戚のおばさんはブースを持っている。
女の子は14時の交代時間で帰った。
親戚のおばさんはかなりの裁縫技術を持つ。常連(?)

「また明日も会いたいなぁ・・・」


シンデレラは舞踏会会場を出たところで加賀と合流して帰路に着きました。
3時間後、帰ってきたシンデレラをハルおばさんが出迎えました。

「舞踏会はどうでした?」
「はい、とても楽しかったです。
それにすてきな王子様とお話もできました。」
「それはよかったわ。
そうそう、あの衣装は目立ったでしょう。」
「えぇ、でも、まわりの人がみんな私のことを『可憐ちゃん』って言うんです。」
ハルおばさんはちょっと含みのある笑いを抑えて答えました。
「それはね。みんなはあなたのことを『可憐だ』ってほめてるのよ。」
シンデレラは本能的に違うことを感じとりましたが、 その場は自分に納得させました。

「あなたさえよければ、明日も連れてってあげるけど…」
「で、でも、おばさまに悪いわ。」
「そんなこと気にしなくていのよ。」
「それに、お継母さんたちが心配してるかもしれないし…」
「あの人たちなら、舞踏会の期間は家に帰ってこないでしょ。」
たしかに、継母たちは舞踏会の期間は2、3日家に帰ってきません。
「だから、今から家に帰って下着を替えていらっしゃい。
その後ここに泊まれば、明日の早朝も楽に出発できるでしょ。」

シンデレラはハルおばさんに悪いと思いつつも、 その夜もハルおばさんの家に泊まりました。

第8夜へ続く  |  目次に戻る