同人シンデレラ

第8夜

舞踏会2日目の朝が来ました。

シンデレラは今日もハルおばさんの用意した制服に着替えました。
しかし、今日の制服は緑のセーラー服と青地にチェックのスカート。
しかも白のヘアバンド付きというデザインです。

「あ、あの、昨日の服と違うんですけど・・・」
「私は父の仕事の都合で転校したのよ。」
「そうなんですか・・・。」
「あなたちょっと天然入ってるから、こっちの方が似合うと思うわ。」
『天然て・・・』
シンデレラは釈然としないものを感じつつも、 ハルおばさんが用意した制服に着替えました。

すぐ後にハヤトと加賀もやってきて、 3人は昨日と同じようにハルおばさんの家を出ました。
今日も運転手はハヤトですが、加賀は助手席。後部座席にはシンデレラが一人で乗りました。
シンデレラは道中で暇にならないよう、 ハルおばさんから画材を借りて原稿を描いていました。



午前8時30分。
昨日と同じように、 シンデレラ達の搭乗したアスラーダはお城の搬入ゲートを通過しました。
そこでシンデレラはアスラーダを降りました。
今日は2回目なのでエスコートは無しです。
「あの・・・、それは絶対見ないでください」
降り際にシンデレラは、自分が描いていた原稿が入った封筒を指差して言いました。
ハヤトと加賀は異様な殺気を感じ取り、無言で首を上下に振りました。

舞踏会の会場前にはすでにいつもにも増してカメラ小僧たちが集結していました。
もちろん目当ては昨日の「可憐ちゃん」。
噂を聞きつけたただの野次馬も含めて、 超大手サークルも真っ青の入場制限ぶりになっています。
「可憐ちゃん、まだ来ないかなぁ。」
「バカ、まだ開場したばかりだろ。」
「そうそう、 こういうものはむしろ時間をかけた方がありがたみが出るってもんだ。」
「あ、俺、あの花穂ちゃんでいいや。」
「お、あの花穂ちゃんもかなりイケてるな。
てゆーかバカ、あれ昨日の可憐ちゃんのコスしてたコだろ!!!!」
「え、マジで!?」
シンデレラはあっという間にカメラ小僧に囲まれました。

カメラ小僧供のあまりの迫力にシンデレラは思わず後ずさりし、 そのまま転んでしまいました。
「大変だ、花穂ちゃんが転んだ!!」
「さすが花穂ちゃんだ!」
「やっぱり花穂ちゃんは転んでなんぼだな。」
なぜかかわりませんが、 シンデレラが転んだことによってギャラリーが異様に盛り上がりました。

「大丈夫?」
シンデレラに手を差し伸べたのは昨日の王子様でした。
「またお会いできましたね。」
王子に引かれてカメラ小僧の包囲を突破した二人は、 海が見える手すりの場所で会話を楽しみました。



13時50分。
おば様との約束の時間が近づきました。
シンデレラは王子に別れを告げました。
王子は引き止めて何とか連絡先を聞こうとしましたが、 シンデレラはそのことに関しては何も教えてくれません。
結局、印象を悪くしてしまうのは得策ではないと判断した王子があきらめて、 シンデレラはその場をあとにしました。

14時00分。
シンデレラは時間通りに加賀とハヤトと合流しました。
帰りのハンドルは加賀が握っています。

アスラーダに乗り込んだシンデレラは、2人の態度に微妙な違和感を感じました。

「・・・
加賀さん、ハヤトさん、
・・・
もしかして、私の原稿、見ましたね?」

焦点を失った加賀の目は、子供の頃、 5年前に亡くなったおばあさんから聞いた鶴の恩返しの昔話の場面を見つめていました。

第9夜へ続く  |  目次に戻る