同人シンデレラ

第11夜

シンデレラと王子は今日も会場の端の海が見える場所で語り合いました。
ただし今日は舞踏会の3日目で最終日ということもあり、 王子は昨日までと違って熱烈なアタックで勝負をかけてきました。
王子はシンデレラのありとあらゆるところを褒めちぎり、 なんとか連絡先を聞き出そうとしますがシンデレラはなかなか落ちません。

そして、転機はいきなり訪れました。
「それにしても、あなたのおば様はいいセンスをお持ちだ。
シスプリといえば、放送終了後も根強いファンを持っている伝説の作品だ。
今でもシスプリの衣装を着ただけでカメラ小僧はわんさか集まってきますよ。
実は僕も当時はファンクラブに入ってました。」
「へー」
「へーって、あなたが着ているのがその衣装ですよ。
まさか知らずにきていたとか?」

図星でした。

王子はこの3日間でシンデレラが着ていた服がシスプリのヒロインが着ていた制服だったことを、ウンチク満載で自慢げに教えました。<この知識を披露することに快感をおぼえるヲタめ!!

しかし、シンデレラの心の中は、
『もしかして、王子様は私じゃなくて、私の衣装に興味があっただけ?』
先のハヤトと加賀の一件だけでなく、 信頼していたおばさまにも騙されていたことを知ったシンデレラはすっかり疑心暗鬼に陥っていました。

そのとき、14時を知らせる鐘の音が会場に鳴り響きました。
シンデレラは帰る時間のことをすっかり忘れていたのです。

「いけない、もう帰らないと」
走り出すシンデレラ。
「咲耶ちゃん、待って!」<あ、また逆効果!
追いかける王子。しかし、
「すいませーん、列通りまーす。」
運の悪いことに、王子が隙をつかれた一瞬の差で人気企業ブースの購入待ちの列が 王子とシンデレラの間に割り込みました。
列が通り終わった後ときには、シンデレラが遥か向こうへ走り去ろうとしています。

しかし、シンデレラ転倒!
なれない靴で走ったため、シンデレラは派手に転んでしまいました。
しかも、転んだ衝撃で持っていた封筒が破け、中に入っていた原稿(しかもヤオイ)を地面にばら撒いてしまいました。
さらに運悪く、突然つむじ風が沸き起こり、広範囲に散らばるシンデレラの原稿(かなりハードなヤオイ)。
散らばる原稿、追いかけてくる王子、過ぎている帰りの時間。

シンデレラは泣く泣く、原稿の回収を諦めて人波に姿を消しました。

あとにはシンデレラがばら撒いたヤオイ原稿(子供が見てはいけない)と、 そのヤオイ原稿(男性も見てはいけない)を握りしめて呆然と立ちすくむ王子が残されました。
その背後で舞踏会運営局からの放送が流れました。

『参加者の皆さん、身の回りに不審物はありませんか?
不審物を見つけたら慌てず騒がず運営局に連絡ください。
(BGM)チャッチャッチャララー
チャッチャッチャチャー
探してみませんか、まだまだ探してみませんか、
火の中、水の中、薄暗い井戸の中〜 ♪


王子は思いました。
「そんなとこにはいねーよ!!メ」



一方、なんとかハヤトたちと合流したシンデレラ。
「遅いぞ、シンデレラ。飛ばすからしっかり捕まってな。」
「げ、加賀さん、まさかゼロの領域を使うつもりじゃあ・・」
「うおおおお、誰人たりとも俺の前は走らせん!!」
「それキャラが違います!!、中の人は同じですけど!」

すでに何かのスイッチが入った加賀の運転で、 アスラーダは普通の車がかけてはいけないGを搭乗者に浴びせつつ、 混み始めた一般道をまさに「暴走」していきます。
ハヤトは慌ててキャビネットからリコーダを取り出しました
「加賀さん、正気に戻って!!!!」
(解説;加賀さんはリコーダーの音を聴くと正気に戻ります。)

しかし、ハヤトがリコーダーを吹こうとした瞬間に 突然急カーブのGの衝撃がかかり、ハヤトはリコーダーを後部座席に落としてしまいました。
「しまった!!
あ。シンデレラ、そのリコーダーをこっちに渡して!!」
しかし、花やしきのジェットコースターを超える凄まじいスピードとGでシンデレラは気を失い、微動だにしません。
「ああああ  (;ロ;)」
一方の加賀はちょっと上機嫌です。
「死ぬぜー、俺の姿を見たヤツは死ぬぜー」
「ああ、死神もやめてください!!!
早く、早くやさしい笛のお兄さんに戻ってーーーーーーーーーー!!!!!」

その日、アスラーダは通常のアスラーダの3倍のスピードで常北高速道を走り抜けました。

お城を出てから1時間後、シンデレラ達が乗ったアスラーダは、 昨日までより遅く出立したのに今日は逆に早くハルおばさんの家の前に戻ってきました。
「あらあら加賀君、またゼロの領域を使ったの?」
出迎えたハルおばさんが見たモノは薄笑いを浮かべる加賀と、 2つの置物。
ではなく、気を失って硬直しているシンデレラとハヤトでした。

第12夜へ続く  |  目次に戻る