| 同人シンデレラ |
| ■ 第14夜
今から20年程前のこと。 ハルおばさんとシンデレラのお母さんはサークルを作って同人作家活動をしていました。 ハルおばさんはメインの絵描きを担当、シンデレラのお母さんはストーリー担当で、2人のサークル「シスター2」の出す本は増刷・完売を繰り返し、 わずか数年でバザーでは一等地に配置されるほどの大手サークルに成長しました。 しかし、シンデレラのお母さんが結婚してサークルをやめることになり、2人は大ゲンカ。 再現すると、 「その男の人が若島津君よりいいって言うの!?」<はい、想像どおりキャプ翼ヤヲイ本メインのサークルです。 「ごめんなさい、私、普通の幸せが欲しいの…」) そして「シスター2」はあっさり解散。 それを機に以前から商業誌からの誘いがあったハルおばさんは商業誌デビューを果たしました。 その後、ハルおばさんは順調にヒット作を書き続け、何本かはアニメ化もされました。 ハルおばさんが毎日忙しい日々を送っていた、そんなある日、ハルおばさん宛に大きな封筒が届きました。 中に入っていたのは。「親愛なるハルナ」と書かれた手紙と、まだネームだけの原稿。しかもストーリーは途中まで。 送り主はシンデレラのお母さんでした。 何事かと思ったハルおばさんはシンデレラのお母さんの家を訪ねましたが、そこでハルおばさんはシンデレラのお母さんが亡くなったことを知りました。 元々体が丈夫でなかったシンデレラのお母さんはシンデレラを生んだ後、 さらに体調を崩して入退院を繰り返しました。 そしていよいよと思ったときに書き出したのがあの原稿でした。 あらかじめ自分が死んだら原稿の入った封筒に封をして投函するように遺言して、 そのあて先がハルおばさんでした。 そのときになって初めてハルおばさんは気づきました。 シンデレラのお母さんが自分を商業デビューさせるため、サークルを抜けたこと。 心配させないために、病気であることを黙っていたこと。 そんなシンデレラのお母さんの不器用なやさしさが、自分は大好きだったこと。 その後、ハルおばさんは作品の方向性の違いから出版社と大喧嘩をし、 仕事を干されてしまいました。 仕事が激減し、同人誌置き場として借りていた約20棟の倉庫はその中身とともに手放さざるをえない状況になりましたが、アニメ化したときの収入と印税のおかげで、 アトリエ兼自宅の屋敷は手放さずに済みました。 今では飛び込みで入ってくるイラストの依頼と年2回のバザーでの収入で細々と暮らしているのです。 ◆ ハルおばさんはシンデレラに語り掛けました。 「その原稿を渡された後、私はそのその続きを描こうとしたけど、結局できなかった。 彼女に対しての思い、嫉妬、後悔、憧れ、そういったものが強すぎたみたい。 でも、きっとあなたなら。」 思いがけないお願いにシンデレラは慌てました。 「あなたに対して難題を押し付けているのはわかっているつもりよ。 でも、あなたのお母さんの一番のファンとして、この話の続きが読みたいの。 そしてたぶん、それをか描けるのはあなただけしかいないのよ。」 ハルおばさんの熱意に負けて、シンデレラは続きを描くことを了承しました。 その後、1時間ほどして、シンデレラはネームを描き終えました。 |