同人シンデレラ

第15夜

 姉と仲直りする見返りとして妖精に命の半分を与える約束をした妹。
仲直りした後に、妹の前に現れた妖精は命の半分を要求しました。

 その話を傍らで聞いていた姉が、妖精と妹の間に割って入りました。
「ちょっと待って、ケンカしたのは私にも責任があるわ。妹の命を半分取るというなら、私の命を1/4あげるから、妹のも1/4にしてあげて!」
「そんな、私のせいで姉さんに迷惑かけられないわ。約束どおり、私の命を半分取ってください。」
妖精は少し困った顔をしました。
「えーと、言いにくいんだけど、命というのは簡単には半分とか1/4とかできないんだよねぇ。」
「おいおい!今、あんたが半分くれ言うたやんけ!!!」
と、姉は思わず関西弁でツッコミを入れました。
しかし妖精は意に介さず、妹のお腹の辺りに手をかざすと、溶け込むように妹の体の中に吸い込まれていきました。
「また1年後に会いしましょう。」
妖精が最後に残した言葉がそれでした。
 1年後、妹は玉のような赤ちゃんを産みました。妖精が言った、「命を半分」というのはこのことだったようです。 妹はその赤ちゃんに妖精と同じ、「シンデレラという名前をつけました。」
 その後、姉妹はケンカすることなく、家族ぐるみの付き合いをして平和にくらしました。
 めでてしめでたし。


 読み終えたハルおばさんは涙を流しながら感想を言いました。
「これは、あなたのお母さんの作品じゃないわ。」
その言葉にシンデレラはショックを受けました。
しかし、ハルおばさんは続けて言いました。
「でも、私は感動した。これはシンデレラ、あなたの作品よ。
ありがとうシンデレラ。」
その言葉を聞いて シンデレラはちょっと照れました。
「あなたのお母さんはもうこの世にはいない。それはわかっていたつもりだったけど、私はどこかでそれを認めたくなかった。
それはきっと彼女が生きていた証が色々な形で残っているから。
でも、残された人はそれを乗り越えていけるのね。
私はあなたのお母さんに対しての後悔から多くのことを見失っていたみたい。今日、やっと何かが吹っ切れた気がするわ。」
そう言ったはるおばさんの顔は今までにないような晴れ晴れした笑顔でした。
ふと、シンデレラはある疑念を思い出しました。
「ところでおばさま。まだ一つわからないことがあるんですけど。
どうして14時までに帰らないといけなかったんですか?」
ハルおばさんはあっさりと答えました。
「ああ、それは、それより遅くなると道路が混むのよ。」
シンデレラは納得しました。

 18時を告げる時計の音が室内に響きました。
「いけない、今日はお母様たちが帰ってくるんだったわ。」
舞踏会の期間中、ママハハたち3人はホテル表島に宿泊していますが、今日は最終日なので夜に帰ってきます。シンデレラはハルおばさんに別れをつげ帰ろうとしましたが、ハルおばさんに呼び止められました。
「シンデレラ。漫画のことはともかく、お母さんのことが聞きたくなったらいつでもいらっしゃい。
あることないこと、色々な秘密を教えてあげるわ。ふふふ。」
そういったハルおばさんの顔はいつもの含み笑顔に戻っていました。
『あることはともくかく、ないことって・・・』

シンデレラが帰宅してから1時間もしないうちに継母たちが帰ってきました。どうやら今回も3000部が完売したようでかなり上機嫌です。
しかし、突然継母が不満をもらしました。
「それにしても売り上げはともかく、あの咲耶のコスプレしたコは何者だったのかしら。」(<あなたのすぐ近くにいます)
「そうね、今回こそあのボンクラ王子を私の魅力でメロメロにしてやろうと思ったのに、どこの馬の骨かもわからないコといちゃいちゃして・・・。」
「でも悔しいけど、あまりにいい雰囲気すぎて近寄ることもできなかったわ。」
「2人ともあきらめちゃダメよ!母親の私が言うのもなんだけど、あんたたちは美人なのよ!(<たぶん違います。)もっと自信をもちなさい!!
それに、もし王子を落とせたら、どれだけの同人誌が作れると思ってるの!」(<おいおい、国家予算で同人誌を作るつもりかい!)
それを聞いた二人の娘は口元を緩ませて思念をあっちの世界に飛ばしました。
「まだまだチャンスはあるわ。これからも同人活動とオシャレに磨きをかけるのよ!!」
その夜、3人の結束はさらに強固になりました。


第16夜へ続く  |  目次に戻る