[back | home]

いまさらセンチメンタルグラフティ〜センチ2発売再延期に寄せて
 いまさらセンチメンタルグラフティです。自分でも笑っちゃいますが。そんでもって世間の評価と来たら評価と呼ぶのもはばかられるどーしよーもない代物(もはやゲームと呼べるのかどーか)で、実際NECインターチャネルもマーカスもサイベルも多部田氏も大倉氏も何言われても仕方ないだけのことをやらかしてるわけですが、それでもセンチメンタルグラフティが垣間見せてくれた可能性は、罵詈雑言に埋めて忘れ去るにはきっともったいないだろうと思うのです。

 コンピューターゲームとしてのセンチメンタルグラフティはちょっと救いがたい作品でした。といってもあのレベルの作品とゆーのは実はいくらでも転がってるわけで、取り立てて酷評されるのはいまさら断るまでもありませんが発売前の期待や人気とのギャップがその理由です。大々的な事前のキャンペーンは過剰な期待を煽り、結果として、それがなければ良くも悪くも日の当たることなく消えていったであろうなんでもない作品に史上最低ともいうべき烙印を負わせました。

 確かに、作品の出来はひどいものでした。しかし、キャンペーンに見合う傑作にするか、そうでなければ身分相応のキャンペーンに留めておくべきであった、との批判はセンチメンタルグラフティを“単なる名作”か“単なる佳作or駄作”にする二者択一に過ぎません。そこには恋愛ゲームでのお話表現における新たな地平は存在しないのです。そして、センチメンタルグラフティの初期のキャンペーンには、確かに新たな地平へ踏み出す可能性がありました。

 一般的にそうであるにせよ、特にセンチメンタルグラフティの発売前キャンペーンつまりキャラクターグッズ、ラジオ、CDなどは、醜悪で俗悪な商業主義の権化としてそれらを買い漁る人達への侮蔑も込めて痛烈に批判され、最大限好意的な意見を探したとしてもハードウェアの高性能化に伴い高騰する制作費に対する対策として、あるいはメーカーにも予想し得なかったユーザーの暴走として消極的に肯定するものがせいぜいだろうと思います。けれど、センチメンタルグラフティは想い出に帰る物語なのです。当然ながらプレイヤーにヒロインとの想い出はなく、その点でプレイヤーはゲームの主人公と乖離せざるをえません。ゲーム開始時点で主人公の心の奥にしまわれた想い出を、ゲーム開始時点のプレイヤーにも共有してもらうには、なんらかの形でプレイヤーにお話を伝えなければならないのです。センチメンタルグラフティの初期のグッズであるヒロインソロデビューCD、下敷き、カセットレーベル、マウスパッドには、甲斐氏のイラストともに必ず短い文章が添えられていました。それこそ、発売前の宣伝を通じて知名度を稼ぐと同時にプレイヤーと主人公の一体感を高める意図を持ったキャンペーンを私に予感させるものであったのです。それは、ゲームをコンピューターの中の限定された世界とし、プレイヤーがその中へ入りこむことを必要とした従来のコンピューターゲームの形式に対し、ゲーム世界を現実世界の側に進出させる新たな形式―ゲームの進化を期待させるものでした。

 同様にゲームという虚構世界と現実世界との関係を変えようとした作品には『ROOMMATE〜井上涼子〜』(DATAM POLYSTAR)や『NOeL -NOT DiGITAL-』(PioneerLDC)があります。前者はサターンの時計機能を用いたリアルタイムな同居生活という前代未聞の形式で“誰かと同じ時間を過ごす”という感覚を目指し、後者はプレイステーションとテレビをテレビ電話に見立て、従来の文章選択ではなく話題選択という方法をとったリアルタイム会話でゲーム内世界を現実世界に引っ張り出した(ゲームをしているのではなくテレビ電話をかけていると思わせる)作品でした。そして、どちらも従来の形式を大きく逸脱していたが故に、従来の価値観で理解できる部分でしか(ROOMMATEの場合は同居する、ということとシャワーシーンを覗くこと、NOeLではいつ電話しても留守電だということ)評価されず、多くの場で低い評価しか得ることのできなかった作品でもあります。

 センチメンタルグラフティが同様に不当な評価しかえられなかったと言うつもりはありません。しかし、前述の通り初期のキャンペーンには可能性がありました。そう、初期には。

 サマーコンサート前ごろから、SDキャラを用いたコースターやキーホルダー、ノートにシャープペンシルといったグッズが姿を表すようになりましたが、これらには初期に存在した想い出のお話はありませんでした。これ以後、グッズは急速に“プレイヤーと主人公の一体感を高める”方向性を失い、商品化していきます。また、こちらはキャンペーンが最初から間違っていたことですがプレイヤーに提示されるビジュアル要素は全て高校三年生の彼女達でした。想い出である彼女達の姿が今のものであるはずがありません。

 結局、その後どうなったかは周知の通り。私が感じた未来は、作り手の彼らが意識してほのめかしたものではなく、ただ私が私の望みを投影しただけのことでした。キャンペーンに対してもゲームそのものに対しても「ここがこうだったら」「あれがああだったら」私の期待が実現された、と言うことはできます。けれど、それはナンセンスです。あれはあれでしかなかったのです。けれど、一時可能性を見て取ることができたのも確かなことだったのでした。

 今、センチメンタルグラフティ2は発売再延期となっています。当初の1月予定は遥か過去の思い出となり、7月は遠い先のことでボガード風に言えばセンチ2は忘れてしまった上にまだ期待していいのかさえわからない、というところ。“2”と言いながら前作の主人公をぶち殺してのスタートに賛否がわかれているようですが前作がなければ『ONE』の茜とかわんない話だし、前作の主人公は「あんな引越ししまくり&学校サボってバイトと旅行しまくり&真冬の北海道で野宿しまくりな高校生がいるものか〜」ってさんざん“感情移入できない主人公”が批判されたのにそれを殺したら今度は「プレイヤーの分身を殺すなんてバカにしてる。感情移入できるわけない」みないな言われ方で有名人って大変だねえ、という気がします。多部田氏の言う「ヒロインと恋愛関係を目指すとは限らない」というのが実現されれば新たな進化というほどでなくともゲームでの表現を広げることになると期待していますが、まぁ実現はしないでしょうね。もう一つ期待しているといえばG'sマガジンのイラストストーリーでやってくれてるようなサブキャラ視点からの語りを上手く使ってくれることですが、まぁこれも。

 ともあれ、今度こそ無事に出て欲しいです。早く出してくんないとDC買えないんだけどなー。でないと久遠の絆再臨詔AeroDancingひみつディスクAeroDancingFエアフォースデルタスペースチャンネル5まぼろし月夜パンツァーフロントソウルキャリバーもサイキックフォース2012(なんとTaito内にページがない!?)もMemoriesOffCompleteルームメイトノベル〜佐藤由香〜ぽけかのDC版KanonもHappyLesson(哀れにもこれも公式ページがない。妹姫にはあるのに)も思い起こせば戦国TURBも買えないじゃないですか。
 ……でもREVIVEは買ってるけど。<ナゼかはヒミツのアッコちゃん

初版:(Apl.16/2000@716)
リンク訂正(夏町さんThanx!):(Apl.26/2000@669)



[back | home]