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深淵 Shin-en シナリオ
ソノ筋では知らぬものとてない小栗秀幸さんのToHeart二次小説『二重螺旋』を読んで思いついたあるシーンを、さて一番上手く実現できるのは?と考えて思いついたのが本シナリオ『学園深淵 SchoolParanoia』。まあ『クトゥルフの呼び声』か『放課後怪奇くらぶ』でも良かったと思いますが、これはこれで深淵らしい現代日本学園ものが可能で面白かったです。ちなみにどんなシーンを思いついたのかとゆーと、ある日主人公(PC、男)が登校してくると親友(やっぱり男)の席に制服を着た見慣れない女の子が座っているのですが、彼女を含めたクラスメートはみんな親友(主人公が親友だと思ってる男の子)の事を知らず、それどころかその女の子がずっと前から主人公の親友やんけと言う、まあそんなシーンでした。その女の子もPCで、彼女の立場からすると、ある日突然親友(主人公の男の子。もちろん物語的お約束として彼女にとって主人公は単なる友達以上の存在であるわけですが)に「あんた誰?」って言われてしまうわけで、あまりといえばあんまりな台詞に思わず涙ぐんだりすると美しーなーという……ってこんなことばっか言ってるからみんなに変態呼ばわりされちゃうのですが、とにかくそーゆーシーンをやろうと思うと、運命だの縁故だのとゆー深淵のルールが生きてくるわけです。
現代日本ですから、当然科学万能でもちろん深淵神話は表向き単なるマイナーな作り話以上のものではありませんが、実は人間が知らないだけ(でときどき真実に触れてしまい帰ってこられなくなる)というのは要するにクトゥルフの呼び声(つーかクトゥルフ神話)です。ただ魔族は旧支配者や外なる神々ほどには理解不能じゃない存在なので、そういうシナリオを作る上では使いやすいかと思います。
ちなみに副題の SchoolParanoia は、シナリオを紹介するときに「雰囲気は一言で言って疑心暗鬼」と言ったのが元でセッション中に『パラノイア』(洋モノRPGで簡単に言うとパーティは疑心暗鬼の塊で隙を見るとPC間で壮絶に殺し合うゲーム)の話題が出たことから。
- PC資料(プレイヤー向け)
- PC資料(マスター向け)
- シナリオ
各プレイヤー用に分かれているのでほかのプレイヤーに見せてはいけません。
- PC1のプレイヤー用
あなたは一人っ子で両親は海外出張中のため下宿で一人暮らしをしており、夏休み中は両親の許へ
旅行していました。加藤佳祐(かとう・よしひろ、同級生、男)は物心つく前からの幼なじみで、無二の親友。
PC3(同級生、男)も同じくらい付き合いの古い友人。順番などつけられないけれどあえて言うなら
佳祐の方がより親しい存在で、旅行中に佳祐が行方不明になったと聞いて心配しています。
運命は『記憶不全』。
あなたから見たPC2:見たことのない女の子。
あなたから見たPC3:自分と佳祐と、3人で幼馴染の友人同士。いつのころからか、時折理由のない苦痛に
襲われる。いつからかはわからないが、わかってるはず、のような気もする。
- PC2のプレイヤー用
記憶喪失中。事故に遭ったと説明されています。しかし、あなたが覚えているのは同年代と思しき
一人の少年の面影だけ。両親と名乗る中年の男女は、記憶を失った娘とどう接していいのかわからないのか、
時々少し変な態度をとる(すごく優しかったり、急に泣いたり)ほかは、信頼できるいい人たちです。
クラスメートの見舞いやアルバムなどで生活に必要な知識は得たものの、記憶は戻らず知識に実感が
ありません。面影の少年も幼なじみのPC1であるとわかりはしましたが、会えていないためはっきりしません。
しかしはっきりしない思いとは裏腹に、間違いなく自分の覚えている相手がPC1だという奇妙な確信も
抱いています。PC1、PC3とは親友同士だったらしく、実際PC3は入院中何かにつけ世話を焼いてくれました。
残念なことにPC1とは旅行中のため連絡がつかなかったのですが。
左腕の内側に木の葉の形をした緑色の小さなあざがあり、少しずつ大きくなっている気がするのですが
怖くていまのところ誰にも相談できていません。
運命は『過去を失った者』。縁故:面影の少年(4)
あなたから見たPC1:何も覚えていない中、唯一面影を覚えていた相手。まだ会っていないけれどそう信じています。
聞いた話によると、一人っ子で両親は海外出張中、下宿で一人暮らしなのだそうです。
夏休み中は両親の許へ旅行しており、そのため連絡がつきませんでした。彼とあなたとPC3は
物心つく前からの幼なじみで、親友同士なのだということです。
あなたから見たPC3:古くからの幼馴染で仲のよい友人だったそうで、両親とも親しいようです。
実際話していて楽しいし、入院中はいろいろと世話を焼いてくれました。PC1とも親しいとか。
- PC3のプレイヤー用
PC1とPC2、そして加藤佳祐(かとう・よしひろ)と4人、物心つく前からの幼なじみです。本当に幼いころ
(小学校低学年のころ)、神社の森の中で「何か」に出会ったこと、それがPC1に対してPC2と佳祐の
二者択一を迫ったこと、PC1が佳祐を選んだこと、選ばれた佳祐が連れ去られたことを覚えています。
以来四人は三人になったのでした。ただ、覚えてはいるものの、魔族の呪いにより口にすることは困難です。
また、ほかのクラスメートたちはみな佳祐がいなくなってから知り合ったので佳祐の事は誰も知りません。
PC2に淡い想いを抱く一方で、PC2がPC1に恋心を抱いていることを知っており自らの想いを口にすることが
できないでいます。PC2の記憶喪失によってそのジレンマはさらに増したのでした。
運命は『傍観者の記憶』(保身のために友を売る(3))『沈黙の刻印』(過去の出来事、刻印:牧人3/
ただし異形はなし)。
あなたから見たPC1:一人っ子で両親は海外出張中、下宿で一人暮らし。長期休み中は両親の許へ
旅行しており、そのためにPC2の事故について連絡ができなかった。PC1とPC2は佳祐の事を
忘れてしまっているらしい。それが「何か」のせいなのかどうかはわからないが。
あなたから見たPC2:長期休み中の事故により記憶喪失という話。確かに姿形は彼女だが記憶が伴っていません。
見舞いに行くと両親の態度に少し変なものを感じるかも?(なんとなくそわそわしてるとか)。
PC1の姿だけは(自分の名前や両親のことを忘れても)覚えていた、という点がクラスメートの女の子たちに
ウケています(笑)。とはいえ周囲からはPC1と3人、「親友」ということになっています。
- PC4のプレイヤー用
本名は加藤佳祐。10年以上前、PC1,2,3と友人でした。いつものように神社の森で遊んでいたとき
森の中の魔族(根の公爵サラドナム)に出会っています。魔族はPC1に対して「汝の最も大切な友は誰か」と問い、
その答えに従い佳祐を連れ去ったのでした。本来なら貪り食われるだけの彼ですが、10年後の楽しみのため
刻印を刻まれ魔族の使徒として使役されてきました。楽しみとはあの時は森の外に帰した3人を、
今度は自らの意思で森に戻らせ魔族の糧とする残酷なゲームのこと。魔族は子供一人で満足する気は
なかったのでした。
PC1は記憶を封じられており、PC3には苦痛の呪いがかけられていて記憶を他人に伝えることができません。
一方、PC1と同じく記憶を封じられていたはずのPC2は少し前に記憶の一部を取り戻し、真実を知るべく
単身森を訪れすでに魔族の毒牙にかかって命を落としています。今PC2として暮らしている存在は
残り二人を引き込む道具として魔族が生み出した人形に過ぎません。
残り二人が魔族に食われてしまえば、利用価値のなくなる自分も食われてしまうだろうと知っています。
それでも自分を売ったPC1や口を拭ってのうのうと暮らすPC3に対する復讐を遂げるか、それとも
何とか二人を助けるのでしょうか? あるいはすべてを捧げ魔族の使徒として生き延びる道もあるかもしれません。
プレイヤーが望むなら牧人の魔法を知っていてもかまいません。そしてその場合はその力をもってしても
サラドナムには抗すべくもないこともまた身をもって知っています。
運命は『支配の刻印』(サラドナム(6) 刻印:牧人3/右足のすねの一部が木質化)
あなたから見たPC1:一人っ子で両親は海外出張中、下宿で一人暮らしの高校生。かつては親友でした。
サラドナムによればその記憶は封印されていて、あのときのことや自分のことは覚えていないそうです。
あなたから見たPC2:同じく元は幼馴染の友人。当時すでにPC1に対して特に好意を持っていた、かな?
しかし今暮らしているのは人形であり、体のどこかに牧人の刻印があるはずです。
あなたから見たPC3:彼も幼馴染の友人。自然に忘れていなければすべて覚えているはずですが、
サラドナムの苦痛の刻印により簡単には口にできません。そのため時折理由もなく(実際には
そのときのことを口にしようとしたためです)ひどい苦痛に襲われています。
サラドナムについて:森の魔族(星座は牧人)。神社の森の中に封印されていますがそこから動けないだけで、
結構平気で周囲に影響力を行使しているタフな人。
- PC1:運命は『記憶不全』(愛するものを滅ぼす予言。一番縁故の高い相手)。かつて神社の森で魔族に
出会ったとき、PC4を売った。記憶は夢歩きを繰り返すうちに見えてくる。ただしまずはPC2のこととともに
「汝のもっとも大切な友は誰か?」との問いに対してPC2を指したという記憶が生まれ、その次の機会に実は
PC4を売っていたことを思い出す。これは今というときの自分の意識が混じったからで、売られた挙句に
完全に忘れられちゃってるPC4にしてみればいい面の皮というか立場なしって感じ。もちろんそこが狙いですが。
夏休みまでの親友としての加藤佳祐の記憶は魔族によって与えられた偽りのもの。
- PC2:運命は『過去を失った者』(根の公爵サラドナム(5)、夢歩きで大成功すると自分の正体が見えてくる)。
あの時は売られることを免れPC1とともに記憶を封じられたものの、事故に遭う直前記憶を取り戻し、
真実を知るべく森へ向かい魔族に食われている。今の彼女は魔族が戯れに生み出したコピーに過ぎない。
事故というのもカモフラージュで、両親はぐちゃぐちゃの死体の彼女を見ている。そのために
今生きている彼女に対しての態度が少しおかしい。悪意があるわけじゃなくて過保護になっているというか。
(新井素子『今はもういないあたしへ…』の“あたし”の両親をイメージしてほしい)
腕のあざは牧人の刻印。大きくなっている気がするのは普段はあくまで気のせい。でもサラドナムの元へ行けば
あざから木の枝が伸びる事だってある。
- PC3:『傍観者の記憶』(保身のために友を売る(3))『苦痛の刻印』(過去の出来事、刻印:牧人3/ただし異形はなし)。
ルールどおりだと結構しゃべれるので刻印によるダメージは効果値1とする。演出ダメージは無効、とかも言いたいけど。
- PC4:マスター用の追加情報はありません。
このシナリオ、シナリオといいつつ実は各キャラクターの設定しかありません。後はPCたちがどう動くか次第、
特にPC4がほかのPCを攻めたて引きずり込まないと面白くも何ともないという、エンターテイナーとしての
マスターの義務(立場、のほうが適当かも)を投げ捨てたような代物で、プレイするのはそれなりに難しいでしょう。
幸い私の周囲ではこういうシナリオやそういうPC(サブマスターというかシナリオボギー(ボギーについては
AdvancedWizardryを参照))をすることがそう珍しくないのと、その中でもそれに適したプレイヤーと
遊ぶことができたので、結果としてとても楽しいセッションになりましたが。
そんなわけで、夢歩きの指針だけを示しておきます。
- 病院、入院してすぐ。
PC2、夢歩き。森の中。理由のない恐怖とあせりと苦痛。自分を呼ぶ森の声、逆らおうとする心の声、森に分け入る理性。誰かを探している自分、心に残る面影。
我に返るとPC3がいる。出会い。
- 旅行先
PC1、夢歩き。幼い自分、神社の森。暗闇の中、問い掛ける声。
- お見舞いの帰り
PC3、夢歩き。森の中。二者択一をせまる声、返答、誰かのいなくなる気配。
- どこか
PC4、夢歩き。何本ものうごめく太き木の根。飢えと乾き。自由への渇望。ひそやかな楽しみ。
- 始業式
PC2は教室にいる。PC1が登校してくる。PC3は好きなタイミングで登場。
一通り終わると担任が来てPC4を紹介する。
- 夢歩き予定:普通に一回、サラドナムに会ったところでもう一回か?
- PC1、一回目:森に4人の子供。問いかけに答えて女の子が消える。自分が彼女を売ったことを思い出す。
PC1、二回目:木の根っこの塊が笑って言う。われは汝のもっとも大切な友を食らう。代償としてその友との幸せな記憶を与えてやろう。とこしえとはいかぬが……な。
- PC2、一回目:森の中を歩く自分。半袖から見える腕にあざはない。誰かに呼びかけるように声を上げる。含み笑いとともに森が揺れ、太い木の根が彼女を囲んでざわめく。自分は……死んだのか?
PC2、二回目:哄笑とともに引き裂かれる自分の姿。そして深淵の深みから生み出されるもう一人の自分。その左腕には小さなあざが見える……。
- PC3:サラドナムの声、汝はすべてを見届けよ。まだまだ終わりではない……。恐怖に震える少年の自分。
- PC4:深淵の中を永劫に苦しみ漂う自分の姿。大学のキャンパスで楽しそうに談笑するPC1と2の姿。サラドナムの哄笑。
真相
PC1が売ったのは実は佳祐。10年間PC2だという偽りの記憶を植え付けられてきた(その上でさらにその記憶も封じてある)。なんとなれば、今になって彼らが真実を確かめるため森に帰ってくるように。
神社の森はフェンスで覆われてる。昔もそうだったかも? 普段遊んでいたのは森、というか境内なんだろう、おそらく。そのときだけは
どういうわけか森の中へ入り込んだ。サラドナムが呼んだから?
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