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知床博物館研究報告 Bulletin of theShiretoko Museum 27: 1..8 (2006)
知床に再導入したオオカミを管理できるか 米田政明(財)自然環境研究センター
は大変優れた論文と思いますので、知床博物館の了解を得て以下に要約いたします。
はじめに
日本にオオカミを再導入し,食物連鎖上位種を回復するとともに,ニホンジカの個体数抑制を図ろうとする提案がなされている.北米やヨーロッパの一部ではオオカミの再導入はある程度成功している.北海道知床半島を最初の導入地として想定した,オオカミ再導入の課題を次の3つの観点から整理する.
1)オオカミの収容力
2)導入後のオオカミの管理
3)社会的受容
再導入に際しては,IUCNの再導入ガイドライン(IUCN 1995)で述べているように,遺伝的特性には十分注意する必要がある.本州への再導入の場合は,ニホンオオカミの分類・遺伝的再検討が必要である.北海道への再導入では,サハリンのエゾオオカミ(Canis
lupus hattai)の捕獲..導入を前提とすれば,現在のオオカミ亜種区分(Mech1974)上の問題は少ない.
オオカミの収容力―知床は狭すぎる
1)生息密度と生息域の広さ
オオカミの生息密度と群れの行動圏から,再導入に必要な面積をまず試算してみよう.北海道と気候,生息地条件が近いポーランドのオオカミ生息密度は,狩猟が行われてない高密度地では2.7..3.2頭/100
km2,狩猟が行われている低密度地では0.9..1.5頭/100 km2と報告されている.カナダでも2.5±0.3頭/100
km2とポーランドを同じ程度の密度だが,アラスカの生息密度は低くオオカミ個体数コントロール以前の1992年の段階で0.89頭/100
km2であった.一方,アメリカ東部のオオカミ復活計画では,200頭の再導入のコアエリアだけで,約66,000km2(0.3頭/100km2),分散地やコリドーを含めると,136,931km(2
0.15頭/100km2)の地域が必要と試算している.
パック(群れ)の個体数と行動圏は,ポーランドでは7..19頭で,行動圏は173..294km2と報告されている.アラスカの1パックの平均個体数は5.4頭と少ないが,行動圏は広い.オオカミの1パックの個体数は多めの見積もりで15頭程度となる.
2)採食量
オオカミは大型偶蹄類の生息するところではそれをもっぱら捕食する.イエローストーンのオオカミは17.1kg/頭・日を採食する.パックサイズを15頭とした場合,1頭あたりの採食量は約6.1kg/頭・日とイエローストーンの場合よりかなり少ない.捕食頻度は北米の場合,パックとしては平均0.33回捕食/パック・日の捕食を行ったが,エルクに限ると0.23回捕食/パック・日,の捕食密度であった.これらの報告から北海道に導入した場合のオオカミは,6kg/頭・日を摂食し,放棄部分を含めて被捕食者の重量としては倍の12kg/頭・日を捕食するものと仮定する.エゾシカの平均体重を60kgとすると,12kgの採食量(捕食重量)はエゾシカ1頭がオオカミ5頭分/日の採食量に相当し,パックサイズを15頭とすると,1パックは平均3頭/日を捕食することになる.
3)北海道・知床半島の収容力推定
知床半島,拡大知床地域,全北海道,について,オオカミの収容力とエゾシカ捕食量の推定を試みよう.アメリカ東部地域へのオオカミ再導入では,人口密度4人/km2以下,道路密度0.7km/km2を再導入適地としている.しかし,知床半島−北海道の場合,斜里町でさえ人口を町面積で単純に割ると平均人口密度(2004年)は18.1人/km2となり,北海道全体の人口密度(1998年)はそれよりずっと高い68人/km2である.北海道の道路密度は約1.12km/km2に達し(北海道 2005),平均道路密度から見るとアメリカ東部の基準による生息適地は少ない.生息適地面積としては,知床半島は812 km2,拡大知床地域は地域全体の80%にあたる4,020 km2,全北海道も全体の80%にあたる62,384km2とみなした(表1).
次に採食量だが,上記のように採食しない放棄部分を含めオオカミは被捕食動物の体重として12kg/日・頭を採食(捕食重量),そのうち70%をエゾシカがしめ,エゾシカの平均体重を60kgとすると,オオカミ1頭1日あたり8.4kgのエゾシカ肉を採食し,年間では51.1頭のエゾシカを捕食すると計算される.これと,エゾシカの生息数および次節で述べる地域別のオオカミ推定収容力から,エゾシカの捕食率(捕食数/生息数)は知床半島では5.1%,拡大知床地域では5.7%と求められる.これら捕食率試算結果は,内的増加率0.19と報告されているエゾシカの増加率(Kaji
et al. 2004)より十分に低く,捕食によりエゾシカが大きく減少し,オオカミ個体群がエサ動物の減少による制限を受ける可能性は当面少ない.逆にこ

のことは,ここで示した知床半島や拡大知床地域のおけるエゾシカ捕食率試算では,オオカミを導入してもエゾシカ個体群を劇的に減らすことは難しいことを示唆している.イエローストーンにおけるオオカミ導入後のエルク個体群減少の主要因は,モデル計算では気候および狩猟と示唆されているように,オオカミ導入によりエゾシカ個体数が減少するだろうと単純に期待することはできない.
4)収容力の評価
再導入したオオカミの生息密度を1頭/km2とすると,知床半島の収容力は8頭にすぎず,上記のように15頭/パックを想定すると1パックをも収
容できない.知床半島だけを対象とした再導入計画は,2頭/100 km2程度の高密度が維持できるとするか,パックのサイズが8頭程度と小さくでもよいとの仮定を置かない限り実現は無理そうである.ただし,生息地を拡大知床地域に広げると上記の試算では2から3パック程度の生息が可能である.エゾシカの捕食数と捕食率(被捕食動物の捕食数/推定生息数)の試算結果は,意外と低い値となった.ポーランドにおけるオオカミによる主要偶蹄類の捕食率は,アカシカが9..13%,イノシシが4..8%,ノロジカが3..4%,ムースが0..29%,と報告されている.この値は,北海道全域とした場合のエゾシカ捕食率推定15.9%を除き,再導入されたオオカミはやっていけそうな数値である.
オオカミの個体群成長率は意外と高く,イタリアでは7%/年で増加し,1970年当時100頭前後だったものが30年後の2000年には400頭前後まで増加したことが報告されている.狩猟による生息数コントロールのある米国,ミネソタ州でも1990年代に4.5%/年の個体群成長があったと推定されている.しかし,導入個体を少数に限れば,ローヤル島のオオカミのように近交劣化の問題がおきるだろう.近交劣化回避の観点からは,知床半島など狭い地域の収容力範囲内での少数個体のパックから再導入を開始するのは適当でない.一方,死亡率もアメリカ北西部の生息地コアで年間20%程度と高く,オオカミの個体入れ替わりは高く,その意味でも管理が難しい動物であることを示唆している.
導入後のオオカミ―管理は困難
1)予測困難な生態系への影響
オオカミを再導入し,知床半島で野外に放逐した場合その後に必要な管理は,再導入個体が定着できるよう誘導することと,希少種捕食や家畜被害を防止することである.事前にリハビリテーションの必要性はあっても,再導入したオオカミ側の野外定着に関わる事項,すなわちエサや巣穴を見つけること,群れの社会行動が形成されること,自然繁殖すること,はそれほど難しいことではないと考える.問題は,予想できない事態が生じた場合の管理である.IUCNの再導入ガイドラインでは,再導入個体により,生命・財産に危害がおよびそれを防ぐことが困難な場合は,再導入個体の取り除き,撲滅を求めている(IUCN
1998).これは人の生命・財産だけでなく,生態系に不測の事態がおきた場合とも解釈すべきであろう.
家畜被害などは次項で詳しく検討するとして,不測の事態としてはどのようなことが考えられるだろうか.生態系への影響としては,希少種であるシマフクロウやタンチョウを捕食することが懸念される.両種とも生息数が少ないため,オオカミによるわずかな捕食数でも個体群への影響は大きい.捕食に至らなくても,オオカミの出現により,警戒心が高まりタンチョウでは観光資源価値が低下するおそれがないとも言えない.エゾライチョウやシマリスなど,地上性動物が捕食され,生態系に何らかの影響をもたらす可能性もある.キツネやタヌキなどオオカミと食性が重なる分類群も,オオカミによる直接捕食,エサの競合,オオカミが捕食した動物の食べ残し摂食,などを通じて分布,個体群,行動習性に影響を受けるであろう.さらに,東ヨーロッパで報告されているような,オオカミとイヌの交雑がおきないとは言えない.事前に検疫を行ったとしても,導入オオカミから予期しない感染症や寄生虫がもたらされ,他の動物に影響することもありうる.
2)導入個体の管理
予測困難な事態に備えるため,導入後のオオカミを個体別に管理し必要な場合は個体の取り除き再移動などが必要となる.でも,導入個体すべての管理が可能だろうか.再導入個体すべてに発信機を装着し,行動をモニタリングし,例えば希少種捕食ばかりを行う個体など不測の事態があった場合,個体別に再捕獲し管理することは当然計画に入れられただろう.しかし,自然繁殖を前提とすると,出産した子に新たに発信機を装着する必要がある.アクセスの困難な地域で繁殖すると子の捕獲は困難となり,二世代以降は行動モニタリングと個体管理ができないことも予想される.繁殖巣穴を見つけ子の捕獲が可能であったとしても,親を含め,発信機の交換など全個体の追跡は多くの作業量,経費をともなう.Haight
& Mech(1997)は再導入地での個体群の増加を抑制するため,オスの精管削除手術後放逐するアイデアに基づく個体群変化をシュミレーションしている.移動が少ない地域において個体群を抑制した保全計画としては可能かもしれないが,再定着を考える知床─北海道の場合には適用困難であろう.家畜被害防除のためには,防除柵と電気ショックを与える首輪をオオカミに装着することで被害を減らす試みもあるが,特定地点での実験的手段としては有効であっても,1,000
km2以上に及ぶと予想される広い再導入地域でこのような管理をするには経費面からも困難が予想される.
社会的受容―難しい
1)オオカミによる被害
石城・中川(2005)は,北海道開拓期のオオカミによる繁殖馬被害が,その全面的駆除の大きな背景になったと紹介している.オオカミが現在も生息しているところではどれくらいの家畜被害があるのだろうか.北米では,アメリカのアイダホ州とワイオミング州をあわせ,1987-.2001年間に,オオカミによる計494頭のヒツジの捕食被害が,カナダ,アルバータ州ではウシの被害が多く1982-.1996年の14年間に1,633頭が被害にあった.イタリアでは,亀山ら(2005)も引用しているように,オオカミとイヌによる被害をあわせ,年間にヒツジが2,550頭程度捕食されている.北海道ではヒツジ飼育数はそれほど多くないため,このようなオオカミが普通に生息し,ヒツジ捕食が多い地域の報告はあまり参考にはならない.しかし,カナダでウシの捕食が多いことは注目される.北海道の畜産農家の経営規模は北米と比べると小さく,少数でも子ウシの捕食が起きるあるいはオオカミの出現で親ウシが神経質になり繁殖や搾乳に影響すれば,農家は大きなダメージを受ける.
家畜被害に注目されがちだがオオカミはイヌも襲う.フィンランドに生息するオオカミの個体数は100頭前後とそれほど多くないが,1996-.1999年の4年間に65回イヌを襲い,このことが住民がオオカミを受け入れない大きな要因になっている.オオカミによる人身被害はさらに例外的なものと考えられがちだが,カナダでは,1969-.2000年の間に子供が重傷を負った3件を含め,18件のオオカミによる人身事故が起きたことが報告されている.知床半島―北海道への再導入の個体数,分布域はカナダのオオカミのそれと比べ当初はずっと小さいだろうから,再導入個体による人身被害は家畜被害と比べれば少ないと予想される.だが,カナダにおける年平均0.56件というオオカミによる人身事故件数は,北海道における1980年代のヒグマによる年平均負傷者数1.1件(米田
未発表)と比べ,それほど低くない野生動物による人身事故リスクと言える.筆者は野生動物によるごく低い頻度の人身事故リスクは受容すべきと考えるが,行政システムとしてはゼロリスクが求められている.
2)社会的受容
社会的受容は,石城・中川(2005),亀山ら(2005)でも特に家畜被害の観点からその必要性を述べているが,あらためて管理コストを含めたその重要性を強調しておく.IUCNの再導入ガイドラインでも,地域社会による受け入れと,被害補償制度の構築の重要性を述べている.管理コストと被害補償はどれくらいかかるのだろうか.北米,ヨーロッパでは被害補償制度を設けているところが多い.アメリカ,ミネソタ州では1,400頭の生息数を維持する場合,オオカミ1頭あたり86ドルの家畜被害などの補償費がかかると予想している.ウィスコンシン州におけるオオカミによる被害補償はオオカミ1頭あたり平均96ドルである.知床半島─北海道への再導入個体数は当初せいぜい十数頭と予想されるため,この程度の補償費ですめば安いものだが,大農地の多いミネソタ州では対象農家が27戸と限られる点に注意する必要がある.このような事態に対処するため,予め補償システムを構築すればよいとの考えがあろう.しかし,ヒグマ,エゾシカによる被害問題でも直接補償は困難な状況から見て,野生動物による経済被害に対する直接補償システムの構築は,現行法制度との整合性からも困難なことが予想される.
オオカミに対する意識調査が職業により大きく異なることにも注意する必要がある.オオカミの再導入に関する109の意識調査事例を分析したWilliams
et al.(2002)は,生態学者の賛成は平均69%,農民以外の一般市民は61%,農民は35%と,農民の賛成率が一般に低いことを示した.メキシコにおいても同様で,高学歴者には再導入に賛成が多いものの,農民には反対意見が多い.牧草や畑作物に被害を与えるエゾシカ生息数が抑制されるかもしれないとの期待はあっても,北海道でオオカミ再導入に対する意識調査を行えば,酪農家からの反対が多いことが予想される.
まとめ
最初にあげた3つの検討事項についてまとめると次のようになる.
1)収容力:知床半島だけでは1パックのオオカミでさえ収容するのは困難である.拡大知床地域とすれば,潜在エサとなるエゾシカも豊富であり,15頭のパックを最大3パックほど収容できそうである.ただし,この場合,予測不可能な事態がおきて導入個体の管理強化の必要が生じた場合,地域が広いため対応がより困難となる.
2)導入後のオオカミの管理:分布域や個体数を望ましいにようにコントロールすることは特に第二世代以降で難しく,希少種の捕食や競合種への影響など予測困難な事態がおきた場合,その対処には多くの困難が予想される.被害レベルを低減させるためには,第二世代以降の捕獲(生息数)管理を行いながら,必要な地域を柵などで物理的に保護していく対策などが考えられるがそのための経費は相当なものになろう.
3)社会的受容面:導入後は家畜被害が予想され低い確率であっても人身被害もおきる可能性があるが,他の野生動物による被害補償との整合性から直接被害補償システムの構築には困難が予想される.社会的受容は,職業層による意見の違いが大きいと考えられ,農家には反対意見が強いであろう.
地域的絶滅種の回復,再導入は生態学者の夢である.成功した場合,社会的賞賛も大きい.オオカミを知床半島あるいは北海道の別の場所に再導入した場合,食物連鎖の頂点となる種が戻り,エゾシカによる食害問題は解決でき,イエローストーンのように観光により年間数百万ドルの利益を生み出すかもしれない.筆者もここで述べたことは取り越し苦労で,すべてがうまくいきそうな気持ちも持っている.しかし,広範囲を移動し繁殖率も高いオオカミでは,分布域,個体数,被捕食動物への影響,家畜被害面で想定しない事態がおきる可能性も高い.予想としては,再導入個体数を10頭前後から始めれば,最初の数年間は,導入個体を死なせないことと定着の心配はあっても,家畜被害は少なく順調にプログラムを進めることができ,市民,マスコミの関心も高いであろう.管理主体は,公益法人あるいは行政のサポートを受けたオオカミ管理NGO/
NPOが主体となると考えられる.当初は対象が絞られた中で活動できよう.課題は管理困難な分布域の拡大,個体数増加,希少種への捕食影響がでることが予想される導入後10年程度たってからである.オオカミ管理機関と知床半島―北海道東部地域の野生動物管理担当者には,拡大するオオカミ個体群の抑制という新しい仕事が増えるだろう.それは,家畜,ペット動物,希少種の被害を減少させることが中心となろうが,かつ分布域と個体数管理にも迫られよう.多くの副次的影響が予想される大型食肉類を再導入するには,我々の技術・システムはまだ不足している.渡瀬庄三郎は当時の世界的な応用動物学の流れに沿って,ネズミやハブ駆除を目的としてマングースを1910年に沖縄島に導入した.しかし,その後,固有種・生態系への影響が出てその撲滅に現在苦労していることはよく知られている.移入種と再導入は違うと言われるだろうが,移入・導入を問わず肉食動物の管理は難しい.マングース導入の失敗は,生きた個体の移動を伴う野生動物,生態系管理のトレンドに安易に乗ることを戒めている.また,多くの資金・人材投入が必要となるが,生態系・野生生物の保護管理における他のさまざまな課題に比べ,オオカミの再導入の優先度,費用対効果が高いとの特段の理由も少ない.生態系回復やシカの個体群管理は,確実な方法で地道に進めていくより仕様が無い.
北海道開拓以来の動物相の変遷をテーマとし,北海道札幌で1981年に開催された第28回生態学会において,開拓以後の北海道の陸上動物の変化を発表した筆者に対して,オオカミ再導入の可能性はないのかとの質問を会場から受けた.その時,導入後の管理が難しく酪農家などの同意を受けにくいため,北海道へのオオカミ再導入は困難と回答した.それから,25年たった今もその考えは変わってないことを,本小論では述べた.
(原 亨要約)
2007年3月18日、日本オオカミ協会・オオカミセミナー
原が出席しました。その内容を下記にしるします。
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1.開会の辞:和田一雄(元東京農工大学教授)
2.1) モンゴルにおけるオオカミの食性
西川真理 (東京農工大学大学院)
2) 東北地方におけるオオカミ絶滅顛末
中沢智恵子 (東京農工大学大学院)
3) ポーランドにおけるオオカミの行動生態
角田裕志 (東京農工大学大学院)
3.基調講演:ジム・ハーフペニー博士(A Naturalist's World)
4.対談/討論
「生態系論から見るオオカミの復活」
「自然復元の一環としてのオオカミの復活」
小金澤正昭 (宇都宮大学教授)
須田知樹 (立正大学講師) 他
5.総括:丸山直樹 (東京農工大学名誉教授/日本オオカミ協会会長)
6.閉会の辞:井上剛(日本オオカミ協会)
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学生の発表はそれなりに面白かった。
会場から「クマの駆除が記録的に増加している時にオオカミ再導入を主張するのはおかしいのではないか」と言う意見があった。
ジム・ハーフペニー氏の講演は、日本とアメリカとの状況の違いを認識して、再導入は急がずに時間を掛けて行うべきだと言うものだった。
私からハーフペニー氏に対して、最近米国で行われているオオカミを絶滅危惧種から外して狩猟対象とする動きについて意見を伺った。
「自然公園から出て被害を及ぼしているオオカミを駆除するのは止むを得ない」という回答だった。
対談/討論は司会の須田氏が小金沢氏とハーフペニー氏に質問し両氏がそれにこたえると言う形で、会場からの質問は時間がないという理由で禁止された。
会場から「質問を禁止するのはおかしい」と言う意味の声が上がったが、司会者により「時間がないので、指名のない発言をすると退場を命じます」と言われて、発言者は沈黙した。
その後、丸山氏の総括及び井上氏の挨拶があった。
(文責:原 亨)
2005.10.03 再導入に関するガイドライン
IUCN( International Union for the Conservation of Nature and Natural Resources国際自然保護連合作成(原文:http://www.iucn.org/themes/ssc/pubs/policy/reinte.htm)。これを浜さんが翻訳してくださいました。ここをクリックすると読めます。
2005.7.03
以下に「日本へのオオカミ再導入」についての論文3編を要約してご紹介します。これらはいずれも知床博物館研究報告
http://shir-etok.myftp.org/page/shuppan/kempo/kempo.html)に掲載されたものです。
いままで「オオカミ再導入」と言うと、モットーは繰り返し聞かされるものの、実現するにはどのような問題があるのか、それらの問題をどうやって回避するのか、という基本的かつ実践的な議論は全くされてきませんでした。
その意味でこれらの論文は画期的なものだと思います。オオカミによる被害が「オオカミが人を殺す」ことだけでないことを指摘していることも、当たり前のことなのですが、従来は触れられていなかったことです。
今後「オオカミ再導入」を真面目に議論するためには、これらの論文は必読文献となり、ここに書かれている問題点に全く触れずに「オオカミ再導入」を議論することはできなくなるでしょう。 |